先週の日曜日のことです。ゴーガ・アシュケナージが何人かの友人らしき人たちと、こちらで依然噴火しているホールフロイニの溶岩とガスの間近でおどけてダンスをしているビデオをインスタグラムに流しました。
私は知らなかったのですが、このゴーガさんはカザフスタン出身の女性で、「ヴィオネ」というファッションブランドの会長兼投資家であり、ビジネス界でもファッション界でも名を知られた大金持ちなのだそうです。ついでに付け加えると(好き嫌いは別にして)美人です。
このことが火曜日にこちらのメディアのVisirに取り上げられました。なぜかというと、火山(というよりは地面の裂け目ですが)の噴火地帯周辺は立ち入り禁止になっているからで、科学者と報道関係者だけが許可をもらって立ち入ることが許されているからです。
主要な道路には警備の人がついていますが、広大な原野なので見つからずに入り込むことは可能ななようです。もっともゴーガさんのビデオにはヘリコプターの機体が移っており、このご一行様は「レイキャビク・ヘリコプター」という会社のヘリコプターで入り込んだようです。
ゴーガさんたちが、溶岩から実際に何メートルのところまで接近したのかは定かではありませんが、ビデオで見る限り相当近くまで行っていたことが確認されます。
溶岩とガス前でのゴーガさんら
Myndin er ur Visir.is t.h. eftir Audun
警察庁の一般防災課のヴィーザー・レイニスソン氏は「この地帯が封鎖されているのには理由があるんです。噴火口では一立方当たり13万マイクログラムのガス(二酸化硫黄)が吹き出していますし、近辺では5.800マイクログラムが観測されているのです」
前にも書きましたが、二酸化硫黄が一立方3.000マイクログラムを越えた環境にいることは「相当に危険」なことで、さらに濃度が上がると短い時間で死にいたります。先日の御嶽山の悲しい事故でもこのことは報道されていましたよね。(御嶽山での犠牲者の方々の主たる死因はガスではなく、吹き出した岩石に拠ったと聞いていますが)
ガス発生に関するブログはこちら。
「ガス以外にももちろん溶岩そのものも急に吹き出して飛び散ったりするもので危険なのです」とヴィーザー氏。警察は今回の「侵入」を送検する方向で調査しているとのことです。
一方、この地帯の管轄をするフーサビーク警察のブリンヨウルブル・シーグルズスソン氏は「誰かが侵入するということは何回かありました。ですが、誰かが中で倒れ、そのためにレスキュー隊が入るとなると、大変な面倒なのです。危険な地帯なため装備も大掛かりになります」
さて、お金持ち一行は涼しい顔で帰ってしまいました。取り残されたのは客を運んだレイキャビク・ヘリコプターです。当然世間の冷たい視線を一身に集めてしまうこととなりました。
責任を問われるのは当然のことですが、そもそもゴーガさんがそんなヴィデオを公開しなかったら何もなかったわけで、その点は金持ちの道楽の犠牲になった感があり、同情しなくもないですが。(ちなみに問題のビデオはすでに消されてしまっています)
レイキャビク・ヘリコプターでは、噴火以来近辺へ科学者やジャーナリストを運ぶ飛行を受け持っていますが、それ以外にも「周遊飛行」も請け負っているそうです。上空の周遊は別に禁止はされていないそうです。それでもひとり当たりの費用は二十三万クローナということで、やはりお金持ち用です。
「問題ははっきりしています。あの地帯への着陸はきちんとした許可を得た人たちを運ぶ時だけ許されているのです。だから今回は規則を破ったことになります」と話すのはレイキャビク・ヘリコプターのマーケット担当のフリーズゲイル・グビューズヨウンスソン氏。いさぎいい?
「会社は規則を尊重するポリシーを持っています。ですから今回の一件は全てパイロット個人の判断と責任によるものです」って、オイオイとかげの尻尾切りかい?
この会社のホームページには火口近辺に着陸している写真も掲載されていますが「それらの写真は立ち入りが制限される前に撮ったものだから」とのこと。宣伝したくないのでリンクは付けません。
「以来、まだ当のパイロットには話しをする機会がありません。もしかしたらそれなりの理由や申し開きがあるかもしれないのですから、一方的な責めはやめてください」
いまだに話しができないってどういうことかよく分かりませんし、申し開きといったって「法外なチップをはずまれたから」ぐらいしかあるとは思えないのですけどねえ...
夏が終わり寒さもぐっと増してきた環境の中で警戒にあたっている人たちの義務と労苦を考えると、「周遊飛行」で安直に儲けようというこの会社の姿勢には感心できません。
さらに、フリーズゲイル氏の記者への最後の文句が最高にいいのです。「周遊飛行だって、そんなものの切符を買うのは『外国人』だけですよ」 違うでしょ、「金持ちの外国人」だよ。一緒にしないでくれ。
まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
私は知らなかったのですが、このゴーガさんはカザフスタン出身の女性で、「ヴィオネ」というファッションブランドの会長兼投資家であり、ビジネス界でもファッション界でも名を知られた大金持ちなのだそうです。ついでに付け加えると(好き嫌いは別にして)美人です。
このことが火曜日にこちらのメディアのVisirに取り上げられました。なぜかというと、火山(というよりは地面の裂け目ですが)の噴火地帯周辺は立ち入り禁止になっているからで、科学者と報道関係者だけが許可をもらって立ち入ることが許されているからです。
主要な道路には警備の人がついていますが、広大な原野なので見つからずに入り込むことは可能ななようです。もっともゴーガさんのビデオにはヘリコプターの機体が移っており、このご一行様は「レイキャビク・ヘリコプター」という会社のヘリコプターで入り込んだようです。
ゴーガさんたちが、溶岩から実際に何メートルのところまで接近したのかは定かではありませんが、ビデオで見る限り相当近くまで行っていたことが確認されます。
溶岩とガス前でのゴーガさんら
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警察庁の一般防災課のヴィーザー・レイニスソン氏は「この地帯が封鎖されているのには理由があるんです。噴火口では一立方当たり13万マイクログラムのガス(二酸化硫黄)が吹き出していますし、近辺では5.800マイクログラムが観測されているのです」
前にも書きましたが、二酸化硫黄が一立方3.000マイクログラムを越えた環境にいることは「相当に危険」なことで、さらに濃度が上がると短い時間で死にいたります。先日の御嶽山の悲しい事故でもこのことは報道されていましたよね。(御嶽山での犠牲者の方々の主たる死因はガスではなく、吹き出した岩石に拠ったと聞いていますが)
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「ガス以外にももちろん溶岩そのものも急に吹き出して飛び散ったりするもので危険なのです」とヴィーザー氏。警察は今回の「侵入」を送検する方向で調査しているとのことです。
一方、この地帯の管轄をするフーサビーク警察のブリンヨウルブル・シーグルズスソン氏は「誰かが侵入するということは何回かありました。ですが、誰かが中で倒れ、そのためにレスキュー隊が入るとなると、大変な面倒なのです。危険な地帯なため装備も大掛かりになります」
さて、お金持ち一行は涼しい顔で帰ってしまいました。取り残されたのは客を運んだレイキャビク・ヘリコプターです。当然世間の冷たい視線を一身に集めてしまうこととなりました。
責任を問われるのは当然のことですが、そもそもゴーガさんがそんなヴィデオを公開しなかったら何もなかったわけで、その点は金持ちの道楽の犠牲になった感があり、同情しなくもないですが。(ちなみに問題のビデオはすでに消されてしまっています)
レイキャビク・ヘリコプターでは、噴火以来近辺へ科学者やジャーナリストを運ぶ飛行を受け持っていますが、それ以外にも「周遊飛行」も請け負っているそうです。上空の周遊は別に禁止はされていないそうです。それでもひとり当たりの費用は二十三万クローナということで、やはりお金持ち用です。
「問題ははっきりしています。あの地帯への着陸はきちんとした許可を得た人たちを運ぶ時だけ許されているのです。だから今回は規則を破ったことになります」と話すのはレイキャビク・ヘリコプターのマーケット担当のフリーズゲイル・グビューズヨウンスソン氏。いさぎいい?
「会社は規則を尊重するポリシーを持っています。ですから今回の一件は全てパイロット個人の判断と責任によるものです」って、オイオイとかげの尻尾切りかい?
この会社のホームページには火口近辺に着陸している写真も掲載されていますが「それらの写真は立ち入りが制限される前に撮ったものだから」とのこと。宣伝したくないのでリンクは付けません。
「以来、まだ当のパイロットには話しをする機会がありません。もしかしたらそれなりの理由や申し開きがあるかもしれないのですから、一方的な責めはやめてください」
いまだに話しができないってどういうことかよく分かりませんし、申し開きといったって「法外なチップをはずまれたから」ぐらいしかあるとは思えないのですけどねえ...
夏が終わり寒さもぐっと増してきた環境の中で警戒にあたっている人たちの義務と労苦を考えると、「周遊飛行」で安直に儲けようというこの会社の姿勢には感心できません。
さらに、フリーズゲイル氏の記者への最後の文句が最高にいいのです。「周遊飛行だって、そんなものの切符を買うのは『外国人』だけですよ」 違うでしょ、「金持ちの外国人」だよ。一緒にしないでくれ。
まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。
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