疾風の如く!

美人画と弓道に生きる日々。

「智恵子抄」ラフⅡ

2018年02月19日 | Weblog






『千鳥と遊ぶ智恵子』  高村光太郎



人つ子ひとり居ない九十九里の砂浜の

砂にすわつて智恵子は遊ぶ。


無数の友だちが智恵子の名をよぶ。

ちい、ちい、ちい、ちい、ちい――


砂に小さな趾(あし)あとをつけて

千鳥が智恵子に寄つて来る。


口の中でいつでも何か言つてる智恵子が

両手をあげてよびかへす。

ちい、ちい、ちい――



両手の貝を千鳥がねだる。

智恵子はそれをぱらぱら投げる。


群れ立つ千鳥が智恵子をよぶ。

ちい、ちい、ちい、ちい、ちい――


人間商売さらりとやめて、

もう天然の向うへ行つてしまつた智恵子の

うしろ姿がぽつんと見える。


二丁も離れた防風林の夕日の中で

松の花粉をあびながら私はいつまでも立ち尽す。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー★



智恵子さんを美化しながらも、ちゃんと描いてあげたくなり、

似顔絵を何枚か描いて、なんとなくですが感じをつかみ、

その後、智恵子さんの画集「恋文」から着物の模様を選びました。


画家としては、色使いがどうしても苦手だった智恵子さんですが、

正気を失ってから、アーティステックな色彩を表現できるようになったそうです。

確かに、画集「恋文」の作品を観ると、その色彩感覚にハッとさせられます。

それを発見したのは、勿論、夫の高村光太郎さんでした。



この詩の中に「二丁も離れた・・」とありますが、

二丁とは、現在の約220メートルほどの距離です。




 昨日は、アクセス数1667PVでした。ありがとうございます。










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