嵐が過ぎ去った朝、目を覚ました少女は、恐る恐る外に出てみました。
昨日見たあの恐ろしい赤い目の光が、まだ脳裏に焼き付いていたのです。
屋敷の庭園にある一番大きな木も倒れ、美しかった庭は荒涼としていました。
使用人たちが、石や枝葉を搔き集めながら、忙しそうに働いています。
庭を歩き出した少女に向かって、年老いた使用人が言いました。
「お嬢様、おかげで大変な目にあいました。幸い屋敷は無事でしたけれど、、」
「昨日、変なもの見ませんでしたか?」少女はそう聞いてみました。
「ものすごい嵐だったので、私はそれ以外は何も、、何か怖いものでも見られたのですか?」
「いいえ」少女はそう答えて、森の方へまた歩き出しました。
不思議なことに、森の木々はみんな無事でした。
「みんなで肩を寄せ合って、あの嵐をしのいでいたのね」と優しく語りかけました。
しばらく森の中を歩いて、泉のところに出ると、
船遊びに使う白いボートが舳先だけを残して沈んでいました。
「まあ、、!」このボートは、少女が大好きだったものの一つで、それ以上は言葉が出てきません。
「馬たちは大丈夫かしら、心配だわ。厩舎にも行かないと」そう言って歩き出した時、
金色の髪をした瞳の碧い少年が、こちらを向いて立っていました。
少し驚いて「あなたはだあれ?」見たこともない少年に少女は尋ねました。
少年は無表情で何も答えません。
ただ黙って少女を見つめています。
少女は、どこかで会ったことがあるような気もしたのですが、霞がかかったように思い出せません。
一瞬サーッと風が飛ぶように吹いて、泉の冷たい水面に美しい波紋を広げました。
二人は、森の泉で見つめ合ったまま、小鳥のさえずりだけが、かん高く響き渡っていました。
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