ストラディバリウスと言えば、バイオリンの名器として有名だが、
その中でも最高傑作とされるのは、1716年制の中のわずかなものだという。
これは、作者アントニオ・ストラディバリが全盛期に作ったもので、
その1つ「メサイア」は、イギリスのオックスフォード博物館に飾られ、
また1つ「メディチ」は、スペインの国宝とされている・・。
そして、その名器の1つとされる「デュランティ」を、
日本のバイオリニスト千住真理子さんが、2002年から所有していたことを、
ある雑誌で知り、早速CDをレンタルして聴いている。
ストラディバリウスという名は知っていたが、その音色を耳にするのは初めてである。
もしかしたら、どこかで聴いたこともあるかもしれないが、これがそのストラディバリウスであり、
名器中の名器だと認識しながら聴くのは、生まれて初めてだ・・。
今も部屋に流して聴いているが、これまで聴いたこともないようなバイオリンの音色だ。
なんとも言えないすごく深い艶がある音色・・まさに年代物・・こんなのは初めて。
特に、CDの中でも馴染みのある「アヴェマリア」を聴いて、
初めて「はあ~~これがストラディバリウスなのか!」と感じたのだった・・。
千住真理子さんの技法の凄さもあるのだろうけど、未体験ゾーン突入の気分だ。
ただ、これは弓道でもそうだが、本当にいい道具は、使い手と馴染むにも時間を要するということだ。
弓でも5年、10年と使い込んで初めて自分だけのものになる。
稀代の名器「デュランティ」はほとんど誰にも使えわれることなく長期間保存されていただけに、
どんな名バイオリニストであっても、サビ落としの時期、使い込んでいく時期が必要で、
相当な手間隙をかけて弾きこなしていってこそ、その真価を発揮するようにも思うのだ・・。
千住さんは「この子」と表現しているように、まさに、息を吹きかえしたばかりの子供を預かったようなものだろう・・。
それにしても、こんな歴史的名器を手にした千住さんも幸運な人だと思う。
同時に、人生の全てをこの名器に捧げ尽くしていく生き方を選んだのだという気もする・・。
いま、しばし堪能しよう・・・。
ストラディバリウスの名器「デュランティ」の豊潤な音色を・・。
そして・・バイオリニスト千住真理子さんの心の音色を・・。