『ヴェニスの商人』、観ました。
16世紀、ヴェニスの貿易商アントーニオは、求婚への資金難に苦しむ友人
バッサーニオのため、ユダヤ人の高利貸シャイロックから金を借りる。しかし、
シャイロックはその担保としてアントーニオの身体の肉1ポンドを要求した…。
こう見えても(?)オイラは“大のシェークスピア好き”なのダ。だから、
シェークスピアと名が付く映画は、新旧問わずほとんど観てる。思うに、
シェークスピア作品の凄いところは、「愛」と「憎しみ」、「信頼」と「裏切り」が
常に表裏一体として描かれ、渦巻く「欲望」の中に隠された「人間の本性」を
抉(えぐ)り出す。しかも、登場するすべての人物に意味を持たせ、物語の
最後にはそれらが例外なく見事に完結していくのだ。そして、本作『ヴェニスの
商人』でも、憎み合う2人の男性と3組のカップルから成る“複雑な人間関係”を
混乱させることなく、誰ひとりが欠けても成し得ない“完璧な愛憎劇”を
完成させた。勿論、それは名匠マイケル・ラドフォード監督の手腕もさること
ながら、シェークスピアの“物語構成力”の巧さ、そして彼の人間を見る
“洞察力”によるところが大きいと思う。
それにしても、何故これまでシェークスピア作品中で、この『ヴェニスの商人』
だけが映画化されてなかったのか??、宗教色の強いのが原因か、差別的
表現があるためか、はたまた単なる偶然か(笑)。いずれにしても、映画は
いつものシェークスピア作品に違(たが)わず完成度は申し分なく、物語
中盤から終盤にかけての展開は、どんどん川の流れが増していき、ついには
滝となって谷底へと落ちていくような…、そんな“スピード感”を感じた。
まぁ、最終的には、一休さんもどきの“とんちネタ”でカタが付くのだけど、
復讐に燃えるユダヤ人男性にとって大きな誤算だったのは、愛を目前にした
“オンナの執念”ってヤツ(笑)。観ながら、憎悪に歪んだユダヤ人よりも、
オンナが意味ありげに意地悪く笑った顔の方が遥かに怖い、と感じたのは
きっとオイラだけではないハズだ(笑)。今宵も真夜中過ぎ、ワイフと娘の
顔色を伺(うかが)いながら、別室にて一人映画を観る‥‥、そんなきのこ
スパさんだったのデス(笑)。
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