肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『インビクタス‐負けざる者たち‐』、観ました。

2011-10-05 17:26:35 | 映画(あ行)

監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、レレティ・クマロ、マット・スターン
※※2010年キネマ旬報ベストテン第2位

 『インビクタス‐負けざる者たち‐』、観ました。
1994年、南アフリカ初の黒人大統領となったマンデラは、アパルトヘイトによる
人種差別や経済格差をなくし、国をまとめるためには、95年に自国で開催される
ラグビーワールドカップでの優勝が必要と感じ、代表チームの主将ピナールとの
接触を図る……。
 イーストウッド前作の『グラン・トリノ』があのような…、自身の“遺言的”要素が
強い作品だったから、今作でガラッと雰囲気を変えてくるだろうことは予想が
出来た。だけど、まさか“ラグビー”を題材にしたスポーツ映画でくるとはねぇ。
過去のスポーツ映画『ミリオンダラー・ベイビー』と比べてみても、熱気が狭く
暗い室内に充満したボクシングから、屋外の青空と緑の芝の上に開放された
ラグビーは、これまでのイーストウッド作品にはない(?)爽快感がある。
が、勿論、そこはイーストウッドという事で、一介の痛快スポ根活劇に終わらず、
リーダー論を絡め、人種差別から“魂の融和”へと至るテーマを織り込んである。
これが彼のベストムービーではないにしても、これほどの質の高さをほこり、
しかも、毎回ジャンル(形式)の異なる作品をコンスタントに年間一本づつ
発表し続けるイーストウッドの凄さ、改めて感心した。
 さて、勝手にここでオイラの持論を展開させてもらうのなら、イーストウッド
映画の醍醐味は“謎解き”だと思ってる。彼の作品中で、ある“違和感”を
感じたなら、何故?、どうして?、とオイラは疑って掛かるようにしているんだ。
では、この作品での“違和感”とは……。イーストウッドらしからぬ(?)○○○な
結末もさることながら、そこに至るまでの“過程のみせ方”がこれまでの作品とは
随分違う。いや、それどころか“真逆”なのだ。例えば、『ミスティック~』
『ミリオンダラー~』『硫黄島2部作』等、それぞれにテーマの違いこそあれど、
これでもかこれでもかという程の“残酷な現実”を曝け出すことで、あの時
我々に何が欠けていたのか、何が間違っていたのか、を観る者それぞれに
問い掛けていくスタイルだった。一方、この映画では、オレについて来いと
言わんばかりに、こうすべきだ、あーすべきだと、実際に主人公自らが“見本を
みせる形”で描いていく。そして、主人公の、この言葉だ、「この国には今こそ
“変化”が必要だ」と。ならば、この映画において“変化”とは何を指すのだろう……。
いわずもがな、それは黒人と白人とがいがみ合うことなく、互いを許すことで、
協力し、南アフリカを素晴らしい国にしていくことにおいて他ならない。その刹那、
ここでふと気づく……、映画と同じく黒人初の大統領、現在のアメリカに
目を移してみると、次期大統領選挙を目前に、共和党と民主党の政党間の
駆け引きによって、経済は停滞し、政治は“政治ショー”と化している。つまり、
この映画が示すリーダー像の向かう先は、現在のアメリカの政治家全員、
強いてはオバマ大統領ではなかろうか。そう、現状を打破するには“変化”が
必要だ。かつてのオバマ氏の言葉 「Yes We Can」、そして「CHANGE!」は、
今こそアメリカ合衆国に必要なのだ。この映画における“イーストウッドの変化”は、
そんな意味合いが込められていたのではなかろうか。

 


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