肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『亀は意外と速く泳ぐ』、観ました。

2006-05-07 21:18:04 | 映画(か行)

☆おすすめ品☆ 亀は意外と速く泳ぐ デラックス版 型番:GNBD-1124

 『亀は意外と速く泳ぐ』、観ました。
若い平凡な主婦、片倉スズメ。夫は海外赴任中。毎日が恐ろしく単調に
過ぎていく…。このまま、歳をとり死んでいくのか? そんな平凡を嘆く彼女は、
ある日ふとしたことからスパイ募集の小さな張り紙広告を目にし、思わずそこに
連絡する…。 
 特に目立って美人とわけじゃないのに…、特に目立って演技が巧いわけじゃ
ないのに…、何故か映画に引っ張りだこは“上野樹里、、モテモテなのダ(笑)。
きっと彼女の魅力は、生まれ持っての“天然キャラ”と、変に垢(あか)抜け
しない“イモっぽさ”にあるんだろう。そう思えば思うほど、彼女以外に
この映画の、このヒロイン役は考えられない、見当たらない。むしろ、彼女の
場合は、今後も下手に演技が上達しない方が良い。今のままの“気取らない
素人臭さ”こそ、最大の武器なのダ(笑)。いや、もしも…、(そんなことは
ないと思うし、そう信じたいが、)彼女がこれを狙ってやっているとしたら、
大変な女優さんであるとは思うけどね。
 さて、映画は、“プチ『下妻物語』”とも言えそうなチープなネタと、コアな
ギャグ満載の“おふざけムービー”。ただし、圧倒的に違うのは、『下妻物語』
ほどに“ギャグの切れ味”はなく、むしろ、春の陽射しのようにやわらかい
“のんびり感”が、全編を優しく包み込む。それから、上野樹里ちゃんの、
やる気があるのかないのか分からない(?)モノローグが良い具合にこれに
溶け込んで、一層の“癒しムード”にどんどん力が抜けていく(笑)。
それにしても、人生すべて“そこそこ”。「目立たぬことを美徳とせよ」は、
まさしくコレ、「すべての煩悩(ぼんのう)を捨てよ」という“仏の教え”と
そっくりではあるまいか(笑)。急がば回れ、亀のようにゆっくりと、着実に歩を
進めていった者が最後には笑う。なるほど‥‥、本作タイトルに隠された
言葉の意味は意外と深くて重い、のダ。

 



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