監督:根岸吉太郎
出演:松たか子, 浅野 忠信, 室井滋, 伊武雅刀, 広末涼子, 妻夫木聡, 堤真一
※2009年キネマ旬報ベストテン第2位
『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』、観ました。
秀でた才能を持つ小説家の大谷と誠実で美しいその妻・佐知。大谷は
その才能とは裏腹に、お酒を飲み歩き、借金を重ね、妻以外の女性とも
深い関係になってしまう破滅的な生活を送っていた。ひょんなことから夫の
借金を返すために飲み屋・椿屋で働き始めた佐知は、あっという間にお店の
人気者になり、日に日に輝きを増していった。そんな佐知は、常連客の一人、
大谷ファンの青年・岡田や昔佐知が振り向いてもらえなかった弁護士・辻から
好意を寄せられる‥‥。
10年前の自分なら、きっと分からなかった夫婦のカタチ。男女が出会い、
結婚し、やがて子供が生まれる。しかし、些細な事から衝突し、模索の中で
やっと一筋の光を見出し、再生する‥‥。恥かしながら、オイラも同じような
経験をしてきたからね、、不思議な気持ちで、この“夫婦の愛”を眺めていた。
映画は、良妻賢母のヒロインと、才能はあれど自堕落で破滅願望のある
作家夫婦の愛を描いている。妻は夫に献身的に尽くし続けるが、夫はそれを
何とも思わない。優しくすればつけあがる…、同じ男としてその気持ちも
分からなくはいが、やっぱり傍からみれば、「なんでサッちゃん、そんな
ダメ亭主に拘らなくとも、他にもっと良い男いるでしょうに」ってことになる。
オイラも最初はそう思って観ていたし、実際ヒロインに想いを寄せる男性も
いた訳だ。一人目は、誠実にヒロインを想う青年機械工。少し若すぎるが、
その実直な性格からして、一生涯ヒロインを大切にしてくれそう。そして、
二人目は、かつての恋人で、今は弁護士で成功し、少なくとも金銭面では
いまより条件は良く、今後も贅沢な暮らしが保障されている。でもね、
結果として彼女はそんな二人を選ばずに、甲斐性のない夫の元に残る訳だ。
何故だろう??、うん、それがレビューの最初に書いた、“10年前の自分なら
分からなかったけど、今は分かる”って部分‥‥、まぁ、正確には“なんとなく
分かる”が正しいかな。一言で言ってしまうと、それは二人が《夫婦》だからだよ。
お金でもない、若さでもない。安定した生活と引き換えにしても、尚手放したく
なかったもの。不満を吐き出し、己の弱さを曝け出し、ありのままの姿で
向かい合える。激しく衝突しあっても、何故か最後には許し合える。例え、
体は離れていても、心はどこか繋がったまま。それは同情とか憐れみとか、
そういう安っぽい言葉じゃなく、その二人の間に他人が割って入ることの
出来ない“聖域”みたいなもの。例えば、それを“(夫婦の)絆”という言葉で
言い換えても良いと思う。映画終盤、(見返りとして)男に抱かれたヒロインが、
道端に捨てた(高級)口紅の向こう側で、ひっそり咲いているタンポポの花‥‥、
その“誠実さ”こそが、《愛》というものなんだろう。改めて、“経験者”の
立場から言わせてもらうと、オイラもその“一輪のタンポポが持つ誠実さ”って
ヤツを今日まで捨てきれずに、今もこうしてここにいる。多分、それは明日も、
明後日も、その後もずっと‥‥。やっかいなもんだ(苦笑)。元々は“赤の
他人”のはずなのに、《夫婦》って不思議だな。。。
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