雨宿り
六時を過ぎてようよう明るくなった空を見上げると、一面grayの濃淡で覆われている。けれど、夕べの天気予報では”午後から晴れて来るでしょう”だったので高を括って十時過ぎに何時もの散歩道へと繰り出す。
何時もの距離のちょうど半分ばかり来たところで、その灰色の雲の中からぽつりぽつりと雨粒が落ち始める。それでも”合点承知の助”と覚悟を決め、常より足早で先を急いだのだが、少しずつ雨粒は数を増して羽織ったジャンバーにしっかりと沁み込んでゆく。
さて、困ったぞ。あと半分の3000歩をこのまま歩き続けたら、流石に濡れ濡つに違いない。何処かに一時凌ぎの屋根下は無かったか?と頭の中で道順をイメージしてみる。
そうだ!!この先に確か在所の集会所が有ったはずだ!と思い当り、其処から急遽gearを速歩にチェンジして漸う氷雨の襲撃から逃れ、庇に保護されて止むのを待ったのだ。
「雨宿り」何と懐かしい言葉の響きだろう。優しさと温もりが同居する「あまやどり」の語感。大人になってから久しく感じたことのない感覚。その新鮮さを書き留めておこうと、ポケットからmemo用紙を取り出し、2Bの鉛筆で書き始める。
此処まで書き終える頃には雨が上がり、南の空の薄い雲の切れ目から一筋の陽光が漏れる。さあ、改めて残りの歩数を積み上げようと再び歩き始めたのだ。 1/24 05:30pm まんぼ