君の詩を!!
手紙①~十二歳の蒼唯へ~
迎えに行く度に
”ひよこ組”と書かれた部屋の
両開きのドアの
丸く刳り抜いた窓から
君の姿を探す
僕を見つけた時の
零れるような笑顔が見たくて
満面に浮かぶ
無垢な幸せの表情を共有したくて
何時でも僕は
わくわくDOKIDOKIしながら
保育園に向かうのだ
今日で一歳と六か月になる蒼唯
何時だって
僕を求めて抱っこをせがむ君
ほんの少しの間でも
姿が見えないと
”じいじは?””じいじは?””じいじは?”と
問いかけてくれる
愛しい君よ!
愛くるしい君よ!
一緒に過ごす月日の中で
そんな言動と仕種の君に
僕は何度癒されてきたことか
後ろから両手を握って
くる日もくる日も
歩く練習をしたよね
ひと月ばかりしたら
片手を繋ぐだけでよくなり
この夏の間には
もはや僕の手の助けを必要としなくなった
君は自由に
行きたい所へ向かい
望む場所へ移動できるようになった
僕はとても淋しい思いをしたけれど
君が成長してゆく
その折々の瞬間を目の当たりにしては
あったかい思いがこみ上げてきて
心は満たされていたよ
君が保育園を卒園し
小学校に入学して
六年生になる十二歳のころ
この爺じいはきっと
君と正反対に
否応なしに
月日の重さを感じる年齢になっている
もしかしたらそんな君の
煌めく少女時代を
一緒に過ごせない可能性だってある
だからこの爺じいは
思い立って今日
その未来の蒼唯宛てに
手紙を書くことにしたよ
君が生まれる前から
mamaのお腹の中で
どんな人々と廻り会うのだろうかと
想いを巡らせていた月日から
満一歳の誕生日までを綴った
「君の詩を!!」の最後のページに
”あとがき”に替えて添えようと
未来の君に宛てて書いた手紙
いつ君の瞳と心に触れるのか
それは想像もできないけれど
この爺じいは
僕の蒼唯が健やかに爽やかに
利発で愛くるしくて
それから
誰よりも優しい少女に
育ってくれていると信じて
この手紙を
一通の遺言のように
愛する蒼唯に書き残しておくのだ
2018-H30- 11/3 07:00:07 まんぼ爺