「丸平川」と言ってもあまり馴染みはなく「岩老川」とか「岩尾川」と呼んでいました しかし「岩老川」はこの川の近くに別にあるのを見かけました
この川はこれも十数年前から釣りに来ていていい型のイワナが釣れるのでよく遊びに来ていました 自然そのままの原始林を流れる川で春先には川岸の斜面にギョウジャニンニクがいっぱい生えていて泥だらけになって採ったものです
しばらくご無沙汰していた平成14~15年頃 ついでがあったので「イワナたちは元気にしてるかな?」と気になってたこともありちょっと寄ってみることにしました 河口近くの河原に立つと以前と変わらない風景 安堵しながら第一投 ググッとイワナが力強いアタリをみせる・・・良かった 昔のままだー
そのまま釣り上ると同じようなイワナがどんどん釣れてくる なんだかメチャクチャ魚影が濃い!
河口から上ると川はまず右に曲がっていて間もなく低い堰堤を越えて今度は左に曲がり山奥へと続いている 川が左に曲がるあたりに来るまで全部リリースしたが数えられないくらいのイワナを釣っていた
釣れすぎなので逆に不自然さまで感じていた
そして左に曲がり上流を見渡した瞬間凍りついた
川は以前の風景とは一変し木々も切り倒され大きく開けていて目の前にはまぎれもなく魚道なしの垂直落下砂防ダムのコンクリートの壁がそびえ立っていた
「何でこんなところにこんなものを・・・」
川から飛び出して 新たに作られたと思われる林道を砂防ダムの上の状態を見るために走った
上流も大きく切り開かれ砂防ダムの上にもいくつものコンクリート建造物が連なっていた 呆然としながらもダムとダムの間で釣ってみると下流部と同じようにイワナが釣れてくる 見るからにこれらのダムはできたばかりの新しいもの
本来ならばこんなダムとダムの間でこんなにイワナが釣れるはずがない・・・
言いようの無いむなしさがこみ上げてくる
この川の周りには1つも家などないのに
なぜここまでしなければならないのか・・・
帰りの車の中で竿にしがみつくようにして釣れてきたイワナたちのことを考えていた 何も悪さをしていないのにいきなり住みかを奪われた彼らが泣いてすがってきていたとしか思えなかった リリースするくらいならみんな持ち帰って食べてやるんだった・・・何もしてやれない自分の無力さとまた川に戻されたイワナたちの気持ちを思うと涙が止まらなかった
そしてその数ヵ月後そこを通りかかると今度は国道からも見えるところに重機を入れ何やら工事をしている その後確認したらそこには更に垂直落下の砂防ダムができていた
先日結果はわかっていたけどこの川に行ってみた
案の定このダム群の流域にはあの魚たちの姿はなかった
国道からも見える砂防ダム
連なる砂防ダム群