TICOブログ

TICO最新情報をお届けします。

子どもが熱を出したら・・・

2013年04月11日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所の瀬戸口です。

私たちの活動するモンボシ地区では大豆や落花生の収穫が始まりました

ただ、こちらの主食である白トウモロコシ(メイズ)は
3月早々に雨が降らなくなり、収穫前から枯れ始めているのが心配です。
去年から全国的な肥料不足も問題視され、取れ高が減ることが予想されていたところに、この日照り
今年は農民にとって厳しい一年になりそうです。

いつも明るくて楽しくて優しいモンボシの人たちですが、
他にも厳しい生活を送っているのが垣間見えるときがあります。

先日、とある祝日にたまたま用があって訪れたヘルスポスト(簡易診療所)
日本の一般的な医療機関と同様に、土・日・祝日はお休みです。

でも、何人か患者の姿が見えました。祝日と気づかず来てしまったのでしょう。
近所の人ならいいのですが、遠方の人なら、また歩いてきた距離を戻らねばなりません
その中にふと知り合いの顔を見つけました。

聞くと、3日前から子どもが熱を出し、マラリアではないかと疑っているとのこと。

気が遠くなりました。
というのも、その祝日は金曜日だったので、ヘルスポストで診療を受けようと思えば
さらに土日を待たなければならないのです。

なんでもっと早く来なかったの?と聞くと
忙しくて連れて来る暇がなかったとのこと。

近く(といっても歩いて40分くらい)の売店で薬を買うのは「高くて無理」と言います。

しかも、マラリアの疑いがあるのであれば、
検査キットで陽性か陰性を診断して、買うべき薬を判断せねばなりません。

でも、売店は薬局ではありません。
薬も小分け(1錠ずつ)にして売っているので、
医学的に必要な量ではなく、村人が買える量を売るだけです。

もしマラリアでないのに、マラリアの薬を飲んだり、
マラリアであっても守らなければならない服薬量や期間がまもられないと
いままでの薬が効かなくなったり、マラリアそのものが薬に強くなってしまうリスクがあります。

この人は「今日はとりあえず家に帰る」と言って帰って行きました(自転車で1時間弱)。


そして次の月曜日の夕方。
再び、その人にばったり会ったので、子どもを診療所に連れて行ったかどうか、聞くと
「連れて行っていない」というのです。

なんで?????

と聞くと

今日も開いてないんじゃないかと思って・・・

との答え。
うーんと唸ってしまいました。
※会ったのはその人の家がある村です。

長い距離をはるばる歩いてきたのに、診療所が閉まっていたらショックですよね。
しかも、ザンビアでは診療所は開いていても医療スタッフがいない(予告もなしにいなくなる)
というのは残念ながら日常茶飯事です。

となれば、ますます「(行きたいけど、遠いし)開いていなかったら・・・」という懸念は膨らみます。

せめて、電話で開いているかどうか、確認出来ればいいのですが、
村には電気がないので、携帯はなかなか充電できません。

なにか伝統的な通信手段で使えるものはないものかと聞いてみると、
葬式やお祭りの連絡は太鼓をたたくという風習があるそうですが、
これも朝夜の静かな時間帯で10キロくらい(日中は4-5キロ)しか音が届かないと言います。

それ以上の距離で、緊急の連絡をしたい場合は?とさらに質問すると

歩く

の一言。
もし持っているなら自転車でもバイクでもいいですが、
要は人間が行かねばならないようです。
緊急の連絡でない場合は、その方向へ行く人を見つけて言づてするんだそうです。


一つのエピソードをひも解いてみても、
その背景には様々な事象が絡み合っていて、一筋縄ではいきません。

おまけにこちらが問題だと思っていても、現地の関係者にとって問題でなければ
解決への一歩さえ踏み出すことはできません。

地域保健をめぐる状況を改善するには、まだまだ時間がかかるなと思った出来事でした。

ちなみにこの熱を出していた子は、後日薬を処方され、まだフラフラするそうですが
快方に向かっているそうです。

なんだか下の記事と対照的な記事になってしまいましたが、
こうやって一喜一憂しながら、現場は活動しています。

文責:瀬戸口(ザンビア事務所)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。