歴歩

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奥州市・道上遺跡 「字(あざ)」を記した最古の木簡が出土

2009年01月21日 | Weblog
 岩手県埋蔵文化財センターが20日発表、地名を示す「字」を記した国内最古の木簡が10世紀(平安時代中期)の道上(どうのうえ)遺跡(奥州市前沢区白山)で発見されたと発表した。
 紙に記述した例も含め五指に入る古さ。「字」は、古代の土地制度である条里制から生まれたとされ、これまでに確認された使用例は近畿地方が大半だった。同時代、既に岩手県でも近畿周辺と同様の課税が行われていた可能性もあり、当時の統治状況などを考えるのに重要な資料になるという。
 同センターなどによると、「字」を記した木簡は江戸時代の例があるだけで珍しい。紙に記した例では、844年に現在の大阪府の寺に関する文書で用いたのが最古だが、多く見られるのは道上遺跡と同時期の10世紀以降だという。
 木簡は長さ約46cm、直径約4cmの棒状。2007年度8月に発掘され確認された120本の木柵の杭の1本で、転用され湿地だったため、保存状態がよく残存した。
 滑らかに削られた表面に、漢文体で40字以上の文字が縦書きに6列、「禁制田参段之事 字垂楊池」(3段=約30アールの水田に関する禁止事項。田は字垂楊(たれやなぎ)池の)などと記されていた。材質はかえでの木とみられる。
 禁止事項を記した「禁制木簡」は、兵庫県豊岡市の袴狭(はかざ)遺跡で出土した2点だけで3例目。腐食で後半は読み取れない文字が多いが、解読の結果、蝦夷の農民とみられる「公子廣守丸」が平安京の貴族に寄進した字垂楊池の水田だとして、無断で耕すことを禁じ、掲示していたとみられる。
 志波城や胆沢城が築城された9世紀から安倍氏が統治する11世紀までの間、資料がほとんど見つかっておらず、当時の統治状況は分かっていない。当時の課税状況を探る重要な資料になるという。
 木簡は24日に盛岡市内丸の県民会館で開かれる「第31回埋蔵文化財公開講座・第11回遺跡報告会」の会場に展示する。連絡先は県埋蔵文化財センター。
[参考:河北新報、岩手日報、毎日新聞、朝日新聞、共同通信]

木簡に地名に付ける「字」 岩手、平安中期で全国初(共同通信) - goo ニュース
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