tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良市の旅館、1年で△34軒!もっと外国人客に泊まってもらおう/観光地奈良の勝ち残り戦略(119)

2017年12月03日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
昨日の当ブログ記事「見えてきた!訪日外国人の民泊」では、私のFacebookなどで外国人の誘客について様々な議論が飛び交った。なので今日も観光ネタを。「観光経済新聞」(12/2付)に、「2016年度 旅館・ホテルの営業施設・客室数 厚生労働省調べ」が掲載されていた。

2015と2016年度の都道府県別の数字と、20年前の1997年度からの業種別の数字が並んでいた。詳しくは厚生労働省のHPを見ていただくとして、私の目にとまった数字だけを以下に挙げておく。なお増減は私が手計算したものだ。
※トップ写真は「JAPAN style 訪日ビジネスアイ.」のサイトから拝借

1.全国の旅館・ホテル 施設数(1997年度と2016年度の比較)
1997年度 旅館68,982軒 ホテル7,769軒  計76,751軒
2016年度 旅館39,489軒 ホテル10,101軒 計49,590軒 
増減 旅館△29,493軒(△42.8%)ホテル+2,332軒(+30.0%)計△27,161軒(△35.4%)


2.全国の旅館・ホテル 施設数(2015年度と2016年度の比較)
2015年度 旅館40,661軒 ホテル9,967軒  計50,628軒
2016年度 旅館39,489軒 ホテル10,101軒 計49,590軒 
増減 旅館△1,172軒(△2.9%)ホテル+134軒(+1.3%)計△1,038軒(△2.1%)

3.奈良県の旅館・ホテル 施設数(2015年度と2016年度の比較)
2015年度 旅館386軒 ホテル60軒 計446軒
2016年度 旅館342軒 ホテル63軒 計405軒 
増減 旅館△44軒(△11.4%)ホテル+3軒(+5.0%)計△41軒(△9.2%)

4.奈良県の旅館・ホテル客室数(2015年度と2016年度の比較)
2015年度 旅館5,376室 ホテル3,675室 計9,051室
2016年度 旅館4,830室 ホテル3,860室 計8,690室 
増減 旅館△546室(△10.2%)ホテル+185室(+5.0%)計△361室(△4.0%)

5.奈良市の旅館・ホテル 施設数(2015年度と2016年度の比較)
2015年度 旅館109軒 ホテル31軒 計140軒
2016年度 旅館75軒 ホテル32軒 計107軒 
増減 旅館△34軒(△31.2%)ホテル+1軒(+3.1%)計△33軒(△23.6%)

6.奈良市の旅館・ホテル客室数(2015年度と2016年度の比較)
2015年度 旅館1,817室 ホテル2,554室 計4,371室
2016年度 旅館1,364室 ホテル2,699室 計4,063室 
増減 旅館△453室(△24.9%)ホテル+145室(+5.7%)計△308室(△7.0%)


数字をたくさん並べたので戸惑う方がいらっしゃるかも知れないが、下線部を中心にまとめると、

(1)この20年間で、全国的には旅館が大幅減、ホテルが大幅増、全体では大幅減(旅館の減少が大きいため)
(2)この2年間で、全国的には旅館が微減、ホテルが微増
(3)奈良県全体では、旅館の減少幅もホテルの増加幅も全国より大きい
(3)奈良市に限ると、旅館の減少幅があまりにも大きく、ホテルの増加幅は少ない、つまり
(4)奈良市の旅館が「34軒」も減っており、ホテルが「1軒」増えても追っつかない

というところが最大の問題なのである。それにしても奈良市の旅館が、1年で34軒も減っていたとは!何度も数字を見直したが、これは間違いない。ほかの地域でも、こんなに減っているところはなかった。奈良県知事や奈良市長がことあるごとにホテル誘致を提唱するのは、ここにポイントがあるのだ。

奈良市は、「ホテルを増やそう」とともに「既存の旅館にもっと頑張ってもらおう」も必要なのだ。これはやはり大口顧客でありドル箱だった「修学旅行生」の宿泊が減っていることが利いているのだろう。また道路網の整備が進んだことで、京都・大阪に泊まって奈良に日帰りする人が依然として増えているのだろう。東向商店街(奈良市)はたくさんの外国人客であふれている(ランチするのに苦労することが多い)のに、これはとても残念なことである。

逆に、奈良市以外の旅館の廃業は少ない(1年で10軒のみ)のは、自助努力をされていることともに、もともと団体客がさほど来ていなかったこと、今も交通の便があまり良くないのでダメージが少ない、ということになろうか。

民泊の数字がここには出ていないが、奈良市における34軒もの減少を食い止めるほどには増えていないことは確かだろう。昨日のブログ記事に若林梅香さん(今井町町並み保存会会長)は、

旅館は待ちの姿勢のところが多く、かつての、お客さんが大事で旅館ごとにお得意さんを持っていた時代を忘れてしまっているように思われてなりません。インバウンドの波の乗り方も奈良らしい旅館や民宿を活用して、お客さんとの接触時間の長いおもてなしで迎えたいものです。

それと外国から見て、奈良のPRが観光地を売ってはいますが、各地の旅館や民宿などをセットでそれ以上に旅館の立地の良さを売ってあげているのかに疑問を持ちます。外国人にはホテルでないと、というような風潮はいつから蔓延したのでしょうか。
 
旅に出たらその国の異文化を味わいたい、それが旅の本質だと思うのですが、数の原理の観光を推し進めてきたためにホテル優先の手間のかからない接待しなくていいという傾向に走ってしまったのでしょうね。

だけど、奈良だけでもそうじゃないんだ、奈良の旅の良さは見るのも聞くのも、泊まるのも違うんだよこれが奈良なんだという色を見せてほしいですね。広報のできる多くの人たちが、旅館や民宿をその得意の広報力で応援してあげる組織ができないでしょうかね。

とお書きだ。「旅館や民宿をその得意の広報力で応援してあげる組織」ということには、大賛成だ。場末の家族旅館だった東京の「澤の屋」さんは創意工夫されて、今の繁栄を築き上げられた。ここが知恵の絞りどころである。ガンバレ、奈良の旅館たち!

※この記事をご覧になった金田充史さんから、Facebookに以下のコメントをいただきました。結論的には「過去から、届け出をせずに廃業していた旅館がたくさんあった。今回、実態を調査するとその累積が34軒あった」ということでした。これでスッキリしました。金田さん、ありがとうございました。

この件についてですが、これは、私の想定です。しかしながら、その想定が正しいかどうか、明日、旅館組合へ聞きに行かせて頂きます。私の想定ですが、事実上の廃業が、正式廃業になったのでは無いか、と、云う訳です。

つまり、高齢化や、施設の老朽化などで、営業が出来ていなかった旅館が、昨今の、飲食店などの賃貸需要で、テナントとしての、賃貸業務に転業し、その際に、保険所への、旅館業務の返上をした為、正式廃業となった、と、云う想定です。

規模の小さな旅館なら、厨房も有って、飲食業への転業がしやすいので、そういった形態での、廃業では無いでしょうか。また、相続した方が、不動産の利活用を考えた、と云うのも、同様だと考えます。どちらにせよ、廃業と同時に、旅館組合も脱会になりますから、確認して参ります。

(その翌日)本日、確認して来ました。一言で言えば、担当部署の怠慢ですね。旅館組合加盟旅館で、奈良市の所属は、現在60数件。若し、加盟旅館中の、34軒が加わったとしても、元の140軒には、とても及びません。数値に、矛盾が有る訳です。この34軒は、旅館組合は把握していなかった訳で、逆に、組合が把握していたのは、昨年の廃業は1軒。そしたら、何故、この様な事が起こるのかと言えば、これは、当該部署の発表な訳です。

奈良市の場合は、生活衛生課。つまり、廃業していても、実態把握をせずに、そのまま、行政内で、書面上だけで営業している事になっていた、と、云う訳です。それが、昨今の、民泊などの林立で、実態の無い、書面だけのモノを、整理したら、それが、34軒だったと云うのが、結論になりました。

また、旅館が廃業すれば、経営者は、雲隠れしてしまい、行政内の手続きは、全て「ほったらかし」になります。別に、「ほつたらかし」でも、誰も困りませんから、当該部署も、そのまま放置していた訳で、それが、キチンとなった、と云う訳ですね。だから、一度にしたものだから、「昨年度で34軒減った」になった訳です。だから、大過去からの、「ほったらかし」が、整理整頓された訳で、昨年に、34軒やめたのでは無い、が、正しい訳です。
コメント
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