毎月1~2回、奈良新聞「明風清音」欄に寄稿している。先週(2025.5.29付)掲載されたのは、〈ほどよく孤独に生きる〉。藤井英子著『ほどよく忘れて生きていく』の続編、『ほどよく孤独に生きてみる』の紹介だった。藤井さんは今年94歳。漢方心療内科藤井医院院長で、今も週6で勤務する現役医師である。
※トップ写真は、フリー素材サイト「ぱくたそ」から拝借した
本書には、心療内科の医師として、また人生の達人として、「生きるヒント」が散りばめられていて、「ふんふん」「そうそう」と納得しながら読み進めた。特に心に残ったところを、紙面で紹介させていただいた。以下、全文を紹介する。
ほどよく孤独に生きる
以前(5月15日付)の本欄で、18万部突破という藤井英子著『ほどよく忘れて生きていく』を紹介した。今日はその続編『ほどよく孤独に生きてみる』(サンマーク出版 税別1400円)を紹介する。こちらも6万部を突破したそうだ。
版元の紹介文には〈離れていい。ひとりでいていい。誰かとうまくかかわるための、心地よい「心の守り方」とは?予約が絶えない心療内科医の「近づきすぎない」幸せの秘訣〉。 今回も、私の心に残ったところをかいつまんで紹介する。
▼ゆるく、軽くつながる
〈人は孤独に弱い生き物ですが、自分で選んだ、ほどよい孤独は、人を強くしてくれます。人は孤独を兼ね備えている、という前提で人と関われば、つながりはゆるく、軽く、でいいとわかります(中略)ゆるく、軽くつながっておきながら、必要なときに声が掛け合える。いざというときに、手を差し出せるような関係性を育めたらいいですね〉。
▼「友だち」より「話し相手」
〈友だちをつくろう、としなくても、娘や甥っこ姪っこなどの身内や、ご近所の方など、誰かひとり、「普段話しかける人」がいてくれたらそれだけで心強いですね。なんでも話せる、とまでいかなくてもよく、なんとなく話していて心地いい人を、勝手に「友だち」と呼ぶ。気軽な会話のやりとりができる相手を見つけることです〉。
▼近い人ほど「あっさり」
〈親世代も、子世代も、お互いの価値観に干渉しないのがよい関係です。あっさりした関係性を保つほうが、長く、仲良く過ごせます。(中略)親世代であれば、子どもの今の価値観にある程度任せ、子ども世代であれば、「親には親の考え方がある」位に考えて、さらりと生きられたらいいと思います〉。
▼「人生の宝物」を見つける
〈「何か面白いことはないかしら」そんな気持ちで世の中を見渡すと、何かしら、「楽しいこと」「好きなこと」「応援したいこと」は見つかります。「見つけよう」としているかどうかです〉。「推し活が元気の素」という人は多い。誰かを応援しているときには、脳から「幸せホルモン」が分泌されるそうだ。「人生の宝物を見つけるぞ」と意識して、日常を見よう。
▼過去はアルバムに収める
〈過去は過去、今は今。過去の肩書きも、地位も、プライドも、人生のアルバムに収納して思い出にしましょう。大切なのはいつも「今から」です。(中略)あなたの価値は過去にはありません。自分がこれまでやってきたことにこだわるよりも、肩の力を抜いて、新しいことに挑戦しましょう。過去の積み重ねは今に生かされます〉。
▼「不調」を自己判断しない
〈心やからだの不調の原因を、自分で決めつけて勝手に我慢し続けていませんか?きちんと検査してみることで、よくなる方法が見つかるかも知れません〉。心の不調、体調不良を客観視してきちんと判断するのは難しい。自身で判断せず、医師に診てもらうことが大切だ。
▼脳は「省エネ運転」する
〈もともと脳には省エネ機能があるようです。惰性になってしまっている生活を、ちょっとだけ変えてみる。それだけで、新鮮な景色とやる気が戻ってきます。(中略)脳の健康のためにも、子どものころにやっていた宿題のドリルのように、ちょっと面倒だけど、簡単に手をつけられることを1つ、生活に取り入れてみましょう〉。
▼神様に手を合わせる
〈見えないものにも守られていると感じるとき、自然と心が整います。年のはじめにはかならず、これまでの感謝の気持ちを伝えています。(中略)神様に日々の報告と、感謝の気持ちを伝えることによって、「あ、そういえば、ありがたいことだな」と思えることもありますよ〉。いかがだろう。肩の力を抜き、ほどよく孤独に生きましょう。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
※トップ写真は、フリー素材サイト「ぱくたそ」から拝借した
本書には、心療内科の医師として、また人生の達人として、「生きるヒント」が散りばめられていて、「ふんふん」「そうそう」と納得しながら読み進めた。特に心に残ったところを、紙面で紹介させていただいた。以下、全文を紹介する。
ほどよく孤独に生きる
以前(5月15日付)の本欄で、18万部突破という藤井英子著『ほどよく忘れて生きていく』を紹介した。今日はその続編『ほどよく孤独に生きてみる』(サンマーク出版 税別1400円)を紹介する。こちらも6万部を突破したそうだ。
版元の紹介文には〈離れていい。ひとりでいていい。誰かとうまくかかわるための、心地よい「心の守り方」とは?予約が絶えない心療内科医の「近づきすぎない」幸せの秘訣〉。 今回も、私の心に残ったところをかいつまんで紹介する。
▼ゆるく、軽くつながる
〈人は孤独に弱い生き物ですが、自分で選んだ、ほどよい孤独は、人を強くしてくれます。人は孤独を兼ね備えている、という前提で人と関われば、つながりはゆるく、軽く、でいいとわかります(中略)ゆるく、軽くつながっておきながら、必要なときに声が掛け合える。いざというときに、手を差し出せるような関係性を育めたらいいですね〉。
▼「友だち」より「話し相手」
〈友だちをつくろう、としなくても、娘や甥っこ姪っこなどの身内や、ご近所の方など、誰かひとり、「普段話しかける人」がいてくれたらそれだけで心強いですね。なんでも話せる、とまでいかなくてもよく、なんとなく話していて心地いい人を、勝手に「友だち」と呼ぶ。気軽な会話のやりとりができる相手を見つけることです〉。
▼近い人ほど「あっさり」
〈親世代も、子世代も、お互いの価値観に干渉しないのがよい関係です。あっさりした関係性を保つほうが、長く、仲良く過ごせます。(中略)親世代であれば、子どもの今の価値観にある程度任せ、子ども世代であれば、「親には親の考え方がある」位に考えて、さらりと生きられたらいいと思います〉。
▼「人生の宝物」を見つける
〈「何か面白いことはないかしら」そんな気持ちで世の中を見渡すと、何かしら、「楽しいこと」「好きなこと」「応援したいこと」は見つかります。「見つけよう」としているかどうかです〉。「推し活が元気の素」という人は多い。誰かを応援しているときには、脳から「幸せホルモン」が分泌されるそうだ。「人生の宝物を見つけるぞ」と意識して、日常を見よう。
▼過去はアルバムに収める
〈過去は過去、今は今。過去の肩書きも、地位も、プライドも、人生のアルバムに収納して思い出にしましょう。大切なのはいつも「今から」です。(中略)あなたの価値は過去にはありません。自分がこれまでやってきたことにこだわるよりも、肩の力を抜いて、新しいことに挑戦しましょう。過去の積み重ねは今に生かされます〉。
▼「不調」を自己判断しない
〈心やからだの不調の原因を、自分で決めつけて勝手に我慢し続けていませんか?きちんと検査してみることで、よくなる方法が見つかるかも知れません〉。心の不調、体調不良を客観視してきちんと判断するのは難しい。自身で判断せず、医師に診てもらうことが大切だ。
▼脳は「省エネ運転」する
〈もともと脳には省エネ機能があるようです。惰性になってしまっている生活を、ちょっとだけ変えてみる。それだけで、新鮮な景色とやる気が戻ってきます。(中略)脳の健康のためにも、子どものころにやっていた宿題のドリルのように、ちょっと面倒だけど、簡単に手をつけられることを1つ、生活に取り入れてみましょう〉。
▼神様に手を合わせる
〈見えないものにも守られていると感じるとき、自然と心が整います。年のはじめにはかならず、これまでの感謝の気持ちを伝えています。(中略)神様に日々の報告と、感謝の気持ちを伝えることによって、「あ、そういえば、ありがたいことだな」と思えることもありますよ〉。いかがだろう。肩の力を抜き、ほどよく孤独に生きましょう。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)