tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

鰻丼とタレの問題

2008年07月31日 | グルメガイド
蒸し暑い日が続いている。この夏、熱中症でお亡くなりになった方も、奈良県下で4人となってしまった。皆さん、くれぐれも水分補給には気をつけていただきたい。

夏のスタミナ源といえば、やはりウナギだ。先週の今日(7/24)は土用丑だったので、鰻丼を食べられた方も多かったことだろう。

最近はウナギの話題といえば、産地偽装の問題がまず頭に浮かぶ。台湾産を浜名湖産、中国産を三河一色産と偽ったというニュースは記憶に新しい。怖かったのが抗菌剤漬けのウナギで、中国産ウナギから、遺伝毒性や発ガン性のあるマラカイトグリーン(合成抗菌剤)が検出されたという、とんでもないニュースが報じられていた。

これから書くのはそういう「問題」ではなく、タレの話である。スーパーなどで売っているかば焼きには、たいてい小袋に入ったタレがついている。この味が年々悪くなっているように思うのだ。妙に甘ったるいし、色が薄めで不自然にトロリとしてる。丑の日、わが家で食べた市販のかば焼きについていたタレの袋には、

しょうゆ(本醸造)[脱脂加工大豆(遺伝子組み換えでない)、小麦を含む]、砂糖、みりん、清酒、コーンスターチ、かばやきエキス(大豆、小麦を含む)、アルコール、調味料(アミノ酸等)

とあった。なんと8種類もの調味料が使われているのだ。家で作るとしたら「醤油、みりん」または「醤油、砂糖、清酒」だけで良いものを、こんなにゴテゴテと混ぜ合わすとは、よほど醤油や酒の質が悪いのだろうか。「かばやきエキス」に、なぜ大豆や小麦を混ぜる必要があるのだろうか。

案の定、このタレは、とてもまずかった(そういえば、冷凍天丼の具についていたタレも、やたら甘くてまずかった)。簡単に作れるのだが、便利なのでつい使ってしまうのが失敗のモトだ。

それにしても最近は、「醤油」にもいろんなものが混じっている。例を挙げると「脱脂加工大豆、小麦、食塩、アミノ酸液、果糖ブドウ糖液糖、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、甘味料(甘草)、保存料(パラオキシ安息香酸)」 等々。

私はわりと醤油にこだわるので、決してこんな表示のあるものは買わない。せいぜい「大豆(遺伝子組み換えでない)、小麦、食塩」である。幸い奈良県下には、美味しい醤油屋さんがたくさんある(お土産にも良い)。おススメは奈良市の向出醤油醸造元、御所市の片上醤油、吉野町の宮滝醤油(梅谷醸造元)などで、これらを順ぐりに使っている。たまに出前の寿司についてくるたまり醤油をかけてしまい、大いに後悔することもあるのだが。
http://www.asm.ne.jp/~soy/

さて、かば焼きのタレは味や成分だけでなく、もう一つ気になることがある。やたら量が多いのだ。ネットで検索していると、東京の鰻屋さんを紹介する個人ホームページに、同様の話が載っていて、膝を打った。引用すると

《4. タレの問題 鰻の銘店では御飯にかけるタレの量は、多過ぎず少な過ぎず実に見事な「案配」となっている。ところが、タレのかけ過ぎで重の御飯がタレの中で泳いでいる店が意外と多いのである。ビタビタになった御飯を残したままにして重をテーブルに置くのは悲しい。勿論、程度の問題はあるが、タレが多くかかっていて御飯が真っ茶色になっている店は、もうそれだけで「問題外の外」と判断しても構わないと思われる》。
http://www.unagidaisuki.com/t'sreport/t'sreport_tokyo2.html

全く同感だ。なぜ、あんなにタレをたくさんかけるのだろう。最近は銘店でもタレの多い店があるので、要注意だ(鰻重でも同様)。ましてや、ホカ弁や駅弁やコンビニの鰻丼などは…。「ひつまぶし」という食べ方が登場してから、この傾向が顕著になったようにも思う。

だから私は、外食で鰻丼を食べるときは「タレは、かけずに別に持ってきて下さい」と頼むことにしている。こうすれば失敗することがない。冒頭の写真は、近鉄奈良駅前の老舗、「いづもや」(奈良市中筋町31 奈良交通ビル西側の路地を北へ少し入る)の鰻丼(上 1300円)である。タレは左上の小鉢に入っているので、鰻にはかかっていない(特にこの店のタレが多いというわけではない)。この店の三河一色産の鰻(炭火焼)は、とても美味しい。
http://local.yahoo.co.jp/detail/spot/0f78af6368df129b821bceb2166bf760/

なお、このお店の「ひつまむし」(2600円)はおススメだ。ランチタイムには、そうめんがついた「お昼の鰻丼定食」(750円)がある。割安だが、鰻の量はあまり多くないので、念のため。
http://odekakeyan.exblog.jp/6332967/
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ドラッカーの箴言集『プロフェッショナルの原点』

2008年07月29日 | ブック・レビュー
マネジメントの父、P.F.ドラッカー(1909年11月19日-2005年11月11日)は、オーストリア生まれの経営学者・社会学者である。没後3年になろうとしているのに、大型書店には今も彼のコーナーが残る。文学書と違い、賞味期限の短い経営書にあっては、希有なことである。
 
ここで紹介するのは、P.F.ドラッカー&ジョゼフ.A.マチャレロ著『プロフェッショナルの原点』(ダイヤモンド社刊)である。
※立ち読みができるダイヤモンド社の同書サイト
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=4-478-00334-3

ドラッカーの遺作で、原題は『成果をあげるエグゼクティブの行動―必要なことを行うための行動日誌』である。氏の同僚・マチャレロ教授が編集・コメント執筆を担当した。

帯に「仕事の本質を洞察し、成果をあげるための姿勢と行動を示す不朽の箴言(しんげん)集」とあるように、ドラッカーの過去の著作から引用された「仕事で成果をあげる法」95のエッセンスがここにある。1つのテーマが見開き2ページに短くまとめられているので、忙しい経営者の方などが移動の合間などに読むには、ピッタリの本である。
※訳者による同書の詳しい解説
http://diamond.jp/series/diabooks/10023/



本文では以下の6つの章で、具体的なアドバイスが示される。
第1章 成果をあげる能力は修得できる
第2章 汝の時間を知れ
第3章 いかなる貢献ができるか
第4章 強みを生かす
第5章 最も重要なことに集中する
第6章 意思決定を的確に行う

中でも《時間をマネジメントすることと重要なことに集中することは、成果をあげるための2本の柱である。時間以外の資源はなんとかなる。だが、時間は最も希少な資源である。(中略)成果をあげるためには、まず、自分の時間がどこに消えているかを知らなければならない》。

いくつかの習慣を身につければ、仕事で成果をあげることができる。《習慣は簡単である。一見簡単そうに見える。だが、身につけることはやさしくない。子供の頃にかけ算を学んだようにして身につけなければならない。6×6=36をすらすら言えなければならない》。この本には、こうしたスキルを身につけるための工夫がある。95項目のそれぞれに「とるべき行動」と「身につけるべき姿勢」が短い言葉で掲げられているのである。

ドラッカーの箴言は、具体的で実践的である。例えば、意思決定に必要なのは4点であるという。《1.実行の責任者 2.日程 3.影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人 4.影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人》。

印象的な比喩やエピソードも巧みに盛り込まれている。《私が13歳のとき、宗教の先生がきみたちは何によって憶えられたいかねと聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこう言った。いま答えられるとは思わない。でも50歳になっても答えられないと問題だよ。人生を無駄に過ごしたことになるからね。今日でも私は、何によって憶えられたいかを自らに問い続けている。これは自らの成長を促す問いである。なぜならば、自らを異なる人物、そうなりうる人物として見るよう仕向けてくれるからである》。

この本は、ドラッカー理論の優れた実践書である。GEのジャック・ウェルチ、P&GのA.G.ラフリーなど、ドラッカーの教えを受けた経営者は数多い。ぜひこの本で「仕事で成果をあげる法」をマスターしていただきたいと思う。

※上記のモト原稿は、奈良県経営者協会の会報誌『鹿鳴通信』08年6月号の「鹿鳴通信BOOKレビュー」欄のために書いたものである。同協会の承諾を得て、転載させていただいた(一部加筆)。

※冒頭の写真は、霊山寺(奈良市中町)のバラ。07.5.19撮影。

プロフェッショナルの原点
P.F.ドラッカー,ジョゼフ・A・マチャレロ
ダイヤモンド社

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観光地奈良の勝ち残り戦略(16)「21世紀の観光戦略」が破綻!?

2008年07月27日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
7/22(火)、発売を心待ちにしていた国土交通省編『観光白書(平成20年版)』を梅田の大型書店で入手した。「報道発表は6/6だったのに、なぜまだ発売されないのか」と疑問に思い、国交省に問い合わせたが「今年は少し手間取っていまして、7/23頃には書店に並ぶと思います」とのことだったが、その通りだった。奥書の発行日が7/7だったのだけは、納得できないのだが。

早速、帰りの近鉄電車の中で、一番気になっていた項目を探し当てた。07(平成19)年の奈良県の延べ宿泊者数は117万人と、全国最下位だったのだ。先月からの報道で聞いてはいたが、A4版の白書で、カラーの棒グラフになって動かぬ証拠を突きつけられると、やはりガッカリする。ちなみにトップの東京都は3436万人と、奈良県の約30倍である。

ガッカリしたのは、全国最下位だったからではない。これで、県が策定した「21世紀の観光戦略」が破綻の危機に瀕するからだ。
※「21世紀の観光戦略」(PDF)
http://www.pref.nara.jp/kanko/senryaku.pdf

「21世紀の観光戦略」は柿本知事時代、当時の県観光課(企画部観光交流局)が延べ21名もの有識者を集めて「県観光産業活性化推進会議」を組織し、鳴り物入りで作り上げた観光基本計画である。05年10月に発表され、当時は《県が遷都1300年観光戦略 2010年目標、宿泊客1.5倍に》《県観光課は「民間活力を生かし、観光を基軸とする新しい奈良を創造したい」としている》(読売新聞奈良版 05.11.20付)と、大々的に報道された。現在の滞在戦略室(企画部観光交流局)の活動も、「2010年の宿泊者数を500万人に」というこの計画がベースになっている。
http://www.pref.nara.jp/koryu/taizai/

この計画書の戦略目標は《泊まる、「奈良」。じっくり楽しむ~日本文化の源流・「本物」を五感で堪能する~》で、これを実現するための「2010年目標値」として

1.宿泊者数 500万人(約1.5倍)  …331万人(2003年)
2.外国人観光客 100万人(約4倍)… 26万人(2003年)
3.経済波及効果 25%増加(2003年比)

という3つの数字が掲げられていた。つまり「泊まる奈良」という目標の達成度合いを、これらの数値で計るということだ。

しかし考えていただきたい。「1.」のベースとなる03年の宿泊者数は331万人だったというが、07年の宿泊者数は、白書によれば約1/3の「117万人」なのだ。この4年間でそんなに落ち込んだのかと県の「奈良県観光客動態調査報告書(平成18年)」を読むと、06年の宿泊者数は「340万人」と出ていた。だとすると、06~07年のたった1年間で、223万人も落ち込んだのか。
http://www.pref.nara.jp/kanko/toukei/

国交省の調査は07年1月に始まった全国統一基準による調査で、従業員10人以上のホテル、旅館、簡易宿所が対象だ。県の調査は全施設が対象のようなのだが、従業員10人未満の施設が223万人ものお客を泊めているとは、決して思えない。全体の2/3もの宿泊客を、従業員10人未満の施設ばかりが泊めている計算になるからだ。

07年3月末現在の宿泊施設数は、計744(ホテル46、旅館452、簡易宿所246)である(「奈良県観光客動態調査報告書(平成18年)」)。全体の1/3(240か所)が従業員10人未満だとすると、1か所が1年に約9千人(223÷240=9300人、毎日25人)、2/3(500か所)だとしても、1か所が1年に約4500人(223÷500=4500人、毎日12人)も泊めている計算になり、辻褄が合わない。

白書によれば、奈良県の宿泊施設の年平均稼働率は30~35%(定員の1/3しか泊まっていない)だから、コンスタントにこれだけのお客が、従業員10人未満の所に泊まっているとは考えられないのだ。

この点について(財)日本交通公社の研究員は《予備調査の段階で小規模施設における回収率が芳しくなかったことから、調査コストとの兼ね合いもあり、小規模施設を対象から除いたとのことです。それでも、事業所・企業統計等を参考に試算すると、延べ宿泊者数の8割程度を捕捉しているものと推測されます(筆者試算)》としている。捕捉率が8割だとしても、117÷0.8=146万人となり、県発表の340万人とは200万人もの開きがある。
http://www.jtb.or.jp/investigation/index.php?content_id=110

やはり、これは統計のごまかし、またはデタラメとしか言いようがない。テキトーに質問しているか、テキトーに答えているか、またはその両方なのか…。

07年の宿泊者数が117万人(または146万人)だとすれば、これが2010年に4倍(または3.4倍)の500万人に化けることはありえない。だから「3.」の「経済波及効果 25%増加」も未達成となる。

そもそも「経済波及効果」の計算方法が問題だ。「観光戦略」のP35に毎年の計画数値の推移が出ていて、2003年の入込客3507万人(うち日帰り3176万人・宿泊331万人)を2010年に4000万人(うち日帰り3500万人・宿泊500万人)にすれば、経済波及効果が25%増加する、と出ている。これらの数字をもとに、波及効果をはじき出しているのだ。電卓で検算してみると、「日帰り客数×1+宿泊客数×6」を経済波及効果算出のベースにしていることが分かった。

シロートの私が3分間で解明できるような簡便法で算出するのが、一概に悪いとはいわない。宿泊客は日帰り客の6倍の経済波及効果がある、という裏付けがあるのだろう(例えば日帰りが3千円、宿泊が1万8千円ということだから)。しかしこの方法は「日帰り客数や宿泊者数は正確だ」ということを前提にしている。しかも1本のモノサシ(尺度)だけで計ろうとしている。国交省は今年から、入込客数の正確な数字もカウントしようとしているが、そうなると再び前提条件の一角が崩れてしまう(奈良県の入込客数は、相当水増しされているという噂だ)。私は以前から「奈良県観光は、そもそも観光統計が未整備なのが問題だ」と指摘してきたが、ここにきて、こんな醜態をさらすことになった。

しかし唯一「2.外国人観光客 100万人」だけは達成の可能性が残されている。国際観光振興機構(JNTO)の調べによると、06年度の来県外国人客数は46万人(=全国7561千人×奈良県訪問率6.1%)にまで増えているのだ。しかしこれは県の努力というより、小泉首相時代に始まった「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の貢献度が大きい。
http://www.jnto.go.jp/jpn/downloads/070928houmonchi.pdf

白書によれば、外国人客のうち県内に泊まったのは5万人(07年)で、構成比(県内宿泊者の全体を100%として、その内訳)は4%・全国で16位と、健闘している。県外客の構成比は83%で、これは全国4位と、素晴らしい。逆に県内在住者の県内宿泊比率が低く、わずか13%と、全国でもワースト4位だ。

つまり我々県民は「観光客が奈良県内に泊まってくれないから、おカネが落ちず、景気が回復しない」とグチをこぼすが、肝心の県民が県内に泊まっていないのだ。何をかいわんやである。私もこの夏は、宇陀市あたりを宿泊旅行してくるつもりだが、県民の皆さん、もっと奈良県内に泊まりましょう。

白書の前半1/3を走り読みしただけで、こんなにいろんなことが解明できた。あとの2/3は、夏休みの楽しみに取っておき、参考になる数字があればここで報告させていただくことにしたい。

※写真はならまちの「菊岡漢方薬」前で(6月中旬に撮影)。
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ならまちで昼食を(3)旬彩 ひより

2008年07月25日 | ならまちで昼食を
「旬彩(しゅんさい)ひより」は以前、当ブログで紹介したことがある。職場の歓送迎会で訪れた時の話で、いただいたのは会席料理だった。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7e4e182c63653809d01d959153c80ca2

今回は、ランチを紹介することにする。同店ではお昼の人気メニュー「七彩」(1,575円)と、岩魚の塩焼きがついた豪華ランチ「彩り」(2,625円)のほかに、お肉のメニューもある。この日いただいたのは、「山形牛コロコロステーキ(70g)ランチ」(2,625円)だ(ワンランク上の「100g」は3,500円)。
http://www.narakko.com/hiyori/index.html

冒頭の写真がそれで、向かって右の小鉢は、夏バテに効くというモロヘイヤだ。ここに味噌汁と赤米のご飯・漬物がつく。デザートはわらび餅と冷やしスイカだった。

ひよりでお肉をいただくのは初めてだったが、これはイケる。つけダレ(左)も良い加減である。もちろん、田原本町で契約栽培されている野菜が美味しいのは当然だ。ボリュームもたっぷりで、肉と野菜の両方が楽しめるこのセットはとてもおトク感がある。赤米のご飯も、おかわりした。



先日(6/25の夜)お邪魔したときは、上の写真のような蒸し野菜が出てきた。サツマイモもタマネギもカボチャもキャベツも、甘味があってとても美味しかった。その時ご主人(尾崎敦士さん)が、収穫シーンの写真を見せてくれた。丸々としたサツマイモが、こんなにたくさん穫れている。



ひよりは「あまから手帖」(07年10月号)や『美味しい奈良 弐』(読売奈良ライフ刊)で紹介され、ランチ目当てのお客はずいぶん増えた。この日にもたくさんの女性で混雑していた。しかし夜の早いならまちにあって、ディナータイムに来られるお客は決して多くないようだ。

良いお酒が揃っているし、ならまちの静かな風情を背中に感じながら一献傾けるのは、とてもオツなものである。夜の部も、ぜひご利用いただきたい。

※奈良市中新屋町26番地 鶉屋倶楽部1階 ℡0742-24-1470
11:30~14:30(ラストオーダー14:00)
17:00~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日 火曜日(応相談)

※ならまちで昼食を(2)吟松
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/5f6ed050888e8a0508c6ae0cc76e2214
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観光地奈良の勝ち残り戦略(15)宿泊者を増やすために

2008年07月23日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
奈良新聞の人気コーナー「大和の経済人 ざっくばらん」の第26回(7/21付)に登場したのは、奈良県観光連盟専務理事の三浦建史郎氏だ。見出しは「宿泊者数増加が命題 事業者に学習機会も」で、聞き手は(たまたま同姓の)三浦孝仁記者である。

三浦専務理事は、1945(昭和20)年7月生まれで奈良市のご出身。県立奈良高校から日本交通公社入社・奈良営業所勤務。JTBトラベランド常務などを経て、2005(平成17)年4月にはJTB執行役員・JTB商事代取社長。07年3月に退社し08年5月から現職。つまりバリバリの業界人だったのだ。

県観光連盟は会長が知事なので、現実には空席だ。その実質トップにJTBの生え抜きで元役員、しかも奈良の出身者が就任されたことは、とても頼もしいし、有り難い。そんな三浦氏の話をピックアップしてみる。

《命題は観光振興によって、宿泊者数の増加を促すことだ》《JTBによる県内の宿泊客統計(平成18年度)では、関東からが約57%、東海・中京からが約10%、近畿からが約15%》《首都圏をセールス拠点として位置付け、情報発信基地の機能を強化する》。県の《南は特に関西圏の需要がある。同時に県北部からのお客さまも招き宿泊してもらいたい》。

「平成19年の奈良県の延べ宿泊客数は116万人で、47都道府県中最下位」という話を当ブログ(7/19付)で紹介したが、宿泊者数の増加が焦眉の急だし、首都圏をその拠点にするというのは、とても良いアイデアだ。奈良に憧れを感じる東京人は多い。

別の記事だが、土曜日(7/19)の読売新聞夕刊に「奈良の観光 県企画人気」という記事が載っていた。県の「ならの魅力創造課」が企画した24の滞在型プランが旅行会社10社に採用されたそうだ。プランの例としては、「大和路八十八面観音巡り」(県内8寺院の十一面観音立像を1泊2日で見学)、「大和路八十八重塔巡り」(20寺院の三重塔、五重塔を2泊3日で見学)など。宿泊しないと回りきれないプランを提案したのだという。

このほか《烏帽子や袴を着け、談山神社(桜井市)で蹴鞠をするプランや、龍泉寺(天川村)で滝行体験をする企画》なども用意している。《八十八重塔巡りを採用したJR東日本グループの旅行会社の担当者は「首都圏の旅行会社は、現地調査や寺社との交渉が難しいので助かる。企画も古都の魅力を掘り下げていて、ユニーク」て歓迎している》《同課は「新しい発想でもっと奈良をアピールしたい」と意気込む》。これは、どんどんやっていただきたいものだ。

なお県では、代官山iスタジオでスタッフが東京都内での誘客セールスを行っているが、これはもっとテコ入れしないといけない。セミナーなどには人が集まるというが、顔ぶれが同じでは広がりがない。同スタジオ内にある奈良市の「東京観光オフィス」はJTBでなくKNT(近ツー)出身者が3人体制で動いているが、果たしてどんな成果が上がっているのか、奈良にまで伝わってこない。東京での県と市の連携は、うまく行っているだろうか。

「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産指定以降、近畿圏や(私も含めて)県内から県南部に宿泊旅行に訪れる人が増えた。このあたりの掘り起こしも大切だ。県観光に関するまとまった統計資料がないので、その手当ても必要だ。相手を知らなければ、戦略を立てることができない。

三浦氏の話に戻る。《旅行会社やマスコミとの連携を深める必要を感じる。旅行は滞在型観光へ変遷している一方で、周遊型観光のニーズも依然としてある。この点に留意し、両面の観光を盛り上げたい》《宿泊事業者には宿泊商品の企画、旅行会社への営業、ホームページ作成など営業ノウハウを学ぶ機会を提供していきたい》。

県下の旅館・ホテルのホームページによる情報発信は、他府県に比べて低調だ。一般に、県下の事業者は広告宣伝には消極的だし、マスコミへの売り込みも下手だ。楽天トラベルなどを上手く利用している宿泊業者もあるが、ごく一部にとどまっている。こうした学習機会の提供は、意義のあることだ。

各観光関連団体との連携については《各車両にモーターが付いている新幹線のような姿が理想だ。コミュニケーションを徹底し、行動を起こしてもらう動機付けを行いたい》。

新幹線のように「各車両にモーターが付いている」姿とは、的確な比喩だ。県下では、行政の牽引ばかりを期待したり、「ウチが動かなくても、大勢には影響がないだろう」という業者や団体が多いからだ。もっと自主的に動かなければ、将来はないのに。


東大寺二月堂の舞台(5/11撮影)

修学旅行客の減少については《全国的な行き先は沖縄・北海道、信州・海外で全体の8割を占める》《県では歴史文化が香る観光資源を活用した体験型プログラムが生きる。良好な人間関係の形成ができたり食育知識が高められるような、テーマ性があるプランが必要だ》と提案する。

修学旅行生の行動を観察していると、お寺巡りにウンザリしているような顔が目につく。単なる見物だけではダメなのだ。どこかで「お寺なんか、おもんない(面白くない)し…」という感想文を見たことがある。それが落書きの多さなどにも現れている。まさに「テーマ性があるプランが必要」なのだ。


手向山神社(東大寺境内 同日)

他にも三浦氏は《「観光の奈良」というイメージをブランディング(=ブランド化)できないかもう一度見直すべき》《大和路アーカイブの充実も図りたい》という提案をされている。

奈良は、せっかくの観光地イメージをもっと大切に育てるべきだし、「大和路アーカイブ」(観光連盟が提供する奈良県の観光総合サイト)は、「京都おこしやす.com」などにならって、リニューアルすべきである(肝心の「仏像アーカイブ」に仏像写真が出ていないのは、致命的だ)。
http://www.kyoto-okoshiyasu.com/index.html

奈良観光の問題点をズバリ指摘し、その対策まできちんと言及される方には、これまであまりお目にかかったことがない。素晴らしい人材を得て、県観光連盟は、これから大いに奈良の観光振興をリードしていただきたい。それに刺激されて動き出す業者や団体は、多いはずだから。

※写真は浮見堂(奈良公園内)。07.7.25撮影。
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