毎日新聞奈良版(2020.8.27付)に「先人のスギ未来へバトン 樹齢105年 校舎用に」という記事が出ていた。川上村は保育園・小学校・中学校の校舎に使う杉を村有林から切り出し、建設の準備を進めているという。しかもこの村有林は、日本が誇る造林王・土倉(どぐら)庄三郎翁が植林したものだというから、スゴい。以下、記事全文を紹介する。
※トップ画像は、川上村が建設を進める義務教育学校のイメージ図
村、24年義務教育学校開校へ 児童・生徒ら伐採見学
川上村は、2024年4月開校を目指す小中一貫の義務教育学校と保育園の校舎・園舎に使う建材の伐採を8月から進めている。26日、村の児童生徒らが同村高原の村有林で、樹齢105年のスギの伐採作業を見学した。高原の村有林は、「日本の造林王」と呼ばれた同村出身の林業家、土倉(どぐら)庄三郎(1840~1917年)が村長時代に植林を進めた人工林。地元の偉人による植樹が100年以上を経て子どもたちの学び舎(や)に生まれ変わる。【萱原健一】
土倉は同村大滝の山林地主の家に生まれ、スギやヒノキを密植して間伐を繰り返し、良材を育てる吉野伝来の造林法を確立した。1900年に村長に就任し、将来の村の財産となるよう高原地区で植樹を進めた。また、自由民権運動を支援して板垣退助(1837~1919年)らと交流し、同志社大や日本女子大の設立資金を出すなど、教育の普及にも尽力した。
村は現在、村立の川上小と川上中を一貫教育にする義務教育学校の建設を進めている。同小の児童が2021年9月に同中内の仮校舎に移った後、同小で22年9月ごろ着工し、新しい校舎・園舎を建てる。村のスギやヒノキをふんだんに使った木造3階建てとする予定。村は既に約2000本の選木を終え、8月から伐採を始めた。
この日、同小の全児童22人と同中の生徒9人が伐採作業を見守った。村の林業従事者が電動のこぎりで太い幹を切り出し、バキバキと大きな音を立てて倒れると、子どもたちは拍手喝采。伐採された2本のスギは高さ約45メートル、幹直径は約50センチ。同小5年の三宅叶恵さん(11)は「こういう作業が昔から続いているのがすごいと思った。木の校舎が楽しみ。村の子どもでよかった」と話した。
村によると、村の人口は減少を続ける一方、15歳までの子どもの人口は57人(2015年)から71人(20年)に増えているという。栗山忠昭村長は、教育・仕事・住まいなどをワンセットにして取り組んできた成果といい、「村は吉野林業と共に発展してきた。先人が何百年にもわたって育んできた歴史が今日、子どもたちに引き継がれる」と話した。
川上村で子どもの人口が増えているというのは、とても良いことだし、子どもたちが村の杉を使った校舎で学べるというのは、郷土愛を育てる絶好の機会である。郷土の偉人・土倉庄三郎のことも強く印象に残ることだろう(土倉はNHKの朝ドラ「あさが来た」にも登場していた)。完成の暁には、ぜひ私も見学させていただこう。
※トップ画像は、川上村が建設を進める義務教育学校のイメージ図
村、24年義務教育学校開校へ 児童・生徒ら伐採見学
川上村は、2024年4月開校を目指す小中一貫の義務教育学校と保育園の校舎・園舎に使う建材の伐採を8月から進めている。26日、村の児童生徒らが同村高原の村有林で、樹齢105年のスギの伐採作業を見学した。高原の村有林は、「日本の造林王」と呼ばれた同村出身の林業家、土倉(どぐら)庄三郎(1840~1917年)が村長時代に植林を進めた人工林。地元の偉人による植樹が100年以上を経て子どもたちの学び舎(や)に生まれ変わる。【萱原健一】
土倉は同村大滝の山林地主の家に生まれ、スギやヒノキを密植して間伐を繰り返し、良材を育てる吉野伝来の造林法を確立した。1900年に村長に就任し、将来の村の財産となるよう高原地区で植樹を進めた。また、自由民権運動を支援して板垣退助(1837~1919年)らと交流し、同志社大や日本女子大の設立資金を出すなど、教育の普及にも尽力した。
村は現在、村立の川上小と川上中を一貫教育にする義務教育学校の建設を進めている。同小の児童が2021年9月に同中内の仮校舎に移った後、同小で22年9月ごろ着工し、新しい校舎・園舎を建てる。村のスギやヒノキをふんだんに使った木造3階建てとする予定。村は既に約2000本の選木を終え、8月から伐採を始めた。
この日、同小の全児童22人と同中の生徒9人が伐採作業を見守った。村の林業従事者が電動のこぎりで太い幹を切り出し、バキバキと大きな音を立てて倒れると、子どもたちは拍手喝采。伐採された2本のスギは高さ約45メートル、幹直径は約50センチ。同小5年の三宅叶恵さん(11)は「こういう作業が昔から続いているのがすごいと思った。木の校舎が楽しみ。村の子どもでよかった」と話した。
村によると、村の人口は減少を続ける一方、15歳までの子どもの人口は57人(2015年)から71人(20年)に増えているという。栗山忠昭村長は、教育・仕事・住まいなどをワンセットにして取り組んできた成果といい、「村は吉野林業と共に発展してきた。先人が何百年にもわたって育んできた歴史が今日、子どもたちに引き継がれる」と話した。
川上村で子どもの人口が増えているというのは、とても良いことだし、子どもたちが村の杉を使った校舎で学べるというのは、郷土愛を育てる絶好の機会である。郷土の偉人・土倉庄三郎のことも強く印象に残ることだろう(土倉はNHKの朝ドラ「あさが来た」にも登場していた)。完成の暁には、ぜひ私も見学させていただこう。