tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

川上村、樹齢100年以上の杉で校舎を建設!

2020年08月31日 | 林業・割り箸
毎日新聞奈良版(2020.8.27付)に「先人のスギ未来へバトン 樹齢105年 校舎用に」という記事が出ていた。川上村は保育園・小学校・中学校の校舎に使う杉を村有林から切り出し、建設の準備を進めているという。しかもこの村有林は、日本が誇る造林王・土倉(どぐら)庄三郎翁が植林したものだというから、スゴい。以下、記事全文を紹介する。
※トップ画像は、川上村が建設を進める義務教育学校のイメージ図

村、24年義務教育学校開校へ 児童・生徒ら伐採見学
川上村は、2024年4月開校を目指す小中一貫の義務教育学校と保育園の校舎・園舎に使う建材の伐採を8月から進めている。26日、村の児童生徒らが同村高原の村有林で、樹齢105年のスギの伐採作業を見学した。高原の村有林は、「日本の造林王」と呼ばれた同村出身の林業家、土倉(どぐら)庄三郎(1840~1917年)が村長時代に植林を進めた人工林。地元の偉人による植樹が100年以上を経て子どもたちの学び舎(や)に生まれ変わる。【萱原健一】

土倉は同村大滝の山林地主の家に生まれ、スギやヒノキを密植して間伐を繰り返し、良材を育てる吉野伝来の造林法を確立した。1900年に村長に就任し、将来の村の財産となるよう高原地区で植樹を進めた。また、自由民権運動を支援して板垣退助(1837~1919年)らと交流し、同志社大や日本女子大の設立資金を出すなど、教育の普及にも尽力した。

村は現在、村立の川上小と川上中を一貫教育にする義務教育学校の建設を進めている。同小の児童が2021年9月に同中内の仮校舎に移った後、同小で22年9月ごろ着工し、新しい校舎・園舎を建てる。村のスギやヒノキをふんだんに使った木造3階建てとする予定。村は既に約2000本の選木を終え、8月から伐採を始めた。

この日、同小の全児童22人と同中の生徒9人が伐採作業を見守った。村の林業従事者が電動のこぎりで太い幹を切り出し、バキバキと大きな音を立てて倒れると、子どもたちは拍手喝采。伐採された2本のスギは高さ約45メートル、幹直径は約50センチ。同小5年の三宅叶恵さん(11)は「こういう作業が昔から続いているのがすごいと思った。木の校舎が楽しみ。村の子どもでよかった」と話した。

村によると、村の人口は減少を続ける一方、15歳までの子どもの人口は57人(2015年)から71人(20年)に増えているという。栗山忠昭村長は、教育・仕事・住まいなどをワンセットにして取り組んできた成果といい、「村は吉野林業と共に発展してきた。先人が何百年にもわたって育んできた歴史が今日、子どもたちに引き継がれる」と話した。


川上村で子どもの人口が増えているというのは、とても良いことだし、子どもたちが村の杉を使った校舎で学べるというのは、郷土愛を育てる絶好の機会である。郷土の偉人・土倉庄三郎のことも強く印象に残ることだろう(土倉はNHKの朝ドラ「あさが来た」にも登場していた)。完成の暁には、ぜひ私も見学させていただこう。
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不空院の秘仏・宇賀弁財天女坐像/毎日新聞「やまと百寺参り」第66回

2020年08月29日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。今週(8/27)掲載されたのは、「女人救済の宇賀弁財天女/不空院(奈良市)」、執筆されたのは奈良市在住の増田優子さんだった。
※トップ写真は、春秋に特別公開される宇賀弁財天女坐像(写真:同寺提供)

いつも朗らかで、少しそそっかしい増田さんのニックネームは「サザエさん」。丸いメガネがチャームポイントで、奈良テレビ放送の「ゆうドキッ!」(月曜日)にも時々出演され、ご当地グルメを紹介されている。今回執筆された秘仏の「宇賀弁財天女坐像」はごく小さいお像で、春と秋に特別公開されている。

また毎年9月第1土・日曜日(今年は5日と6日)には、弁財天に音楽や舞踊を楽しんでもらう「かなで奉納」(入場無料、申し込み不要)が開催される。お寺のHPには、

両日とも受付13:00~ 奉納行事 13:30~ 於 不空院本堂
プログラム
1.不空院住職・三谷真漣(しんれん)和尚による法要
2.奉納演奏
  演奏者 5日:アンサンブル・アンジェラ、プロリメ、6日:帝塚山学園高校 吹奏楽部
共催:「奈良 高畑」の会
​協賛:奈良県/奈良市/ならコープ


では、そろそろ記事全文を紹介する。

春日山(しゅんにちざん)不空院は、鑑真和上や弘法大師空海が止住(しじゅう)したと伝わる古刹です。本尊・不空羂索(けんさく)観音坐像は、東大寺法華堂や興福寺南円堂のものとともに奈良の「三大像」の一つとして有名です。「不空院古絵図」に描かれていた本堂・八角円堂は、江戸時代後期、安政の大地震で倒壊しましたが、大正時代、三谷弘厳・先々代住職がその礎石の真上に現在の本堂を再興しました。

古絵図の弁財天社に祀(まつ)られていたのが、室町時代の秘仏・宇賀(うが)弁財天女坐像です。女人の救済と庇護に霊験あらたかな仏さまで、別称「福院」といわれるほど信仰を集めました。頭上に宇賀神を乗せた典型的な神仏習合の姿で、八本の腕に武器と財宝の象徴を持っているのが特徴です。

5年後に大正再興100年を迎えるにあたって、本尊左の厨子内に祀られている弁財天像のお堂を整備することを三谷真漣(しんれん)・現住職が発願し「弁財天安置堂」(仮称)の建立準備に入りました。毎年9月第1土・日曜日には、弁財天に音楽や舞踊を楽しんでもらう「かなで奉納」(入場無料、申し込み不要)が開催されます。(奈良まほろばソムリエの会会員 増田優子) 

(宗 派)真言律宗
(住 所)奈良市高畑町1365
(電 話)0742-26-2910
(交 通)JR・近鉄奈良駅からバス「破石(わりいし)町」下車、徒歩約10分
(拝 観)9時~17時、境内自由。本堂拝観は春秋特別公開時のみ可、600円。
(駐車場)無


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本薬師寺跡の礎石群とホテイアオイ/毎日新聞「やまと百寺参り」第65回

2020年08月28日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。先週(8/20)掲載されたのは「ホテイアオイと礎石群/本薬師寺跡(橿原市)」、執筆されたのは大和郡山市在住の岡田充弘(あつひろ)さんだった。

記事には、ちょうど今ごろから9月にかけて咲くホテイアオイの写真を載せていただいた。しかし残念ながら今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、株の植え付けが中止され、花を見ることができないのが残念だ。では、全文を紹介する。

本薬師寺(もとやくしじ)は、天武天皇9年(680)に天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒のために建立された、平城京の薬師寺の前身寺院で、寺跡は国の特別史跡に指定されています。今日では、土壇と大きな礎石が残されているのみですが、伽藍(がらん)配置や金堂と東西両塔の距離や大きさが、平城京の二塔一金堂を持つ薬師寺とよく一致することから往時の姿をしのぶことができます。

例年、寺跡の周囲の休耕田には、約1万4000株ものホテイアオイが植え付けられ、ちょうど今の時期から9月にかけての季節、一面に咲き乱れる花を楽しむことができます。東西の塔跡の土壇の上に登ってみると、両塔間の距離感や伽藍の配置をはっきりと感じることができ、真西に見える畝傍山や周辺に咲くホテイアオイが良く見渡すことができます。

涼しげな薄紫色の花は、本薬師寺跡の礎石や大和三山の景色ともよくマッチして、訪れる人々の目を楽しませてくれます。花の咲く時期には、寺跡横にも臨時駐車場が設けられ、見学に便利です。ですが今年は新型コロナウイルスの影響で株の植え付けが中止されました。残念ながら、美しい花を見ることはできません。(奈良まほろばソムリエの会会員 岡田充弘)

(宗 派)なし
(住 所)橿原市城殿町279
(電 話)0744-21-1115 (橿原市観光政策課)
(交 通)近鉄畝傍御陵前駅下車 徒歩約10分
(拝 観)見学自由  
(駐車場)有 (ホテイアオイの時期には臨時駐車場、それ以外は市営畝傍御陵前駅東駐車場)


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奈良県民限定「いまなら。キャンペーン」、本日スタート!(2020 Topic)

2020年08月26日 | 観光にまつわるエトセトラ
昨日(2020.8.25)の毎日新聞奈良版に「居住者宿泊 最大7割引き 日帰り利用も あすスタート」という記事が出ていた。県の公式サイト(いまなら奈良県)は、こちらである。記事全文を紹介すると、

新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ県内観光の回復のため、県内の宿泊施設の料金が最大7割引きになるキャンペーン事業が26日から始まる。実施主体の県によると、住民票の有無にかかわらず県内に居住している人が対象で、利用回数の制限はない。期間は2021年1月末までだが、利用が事業の予算額(5億円)に達すると終了する予定という。

事業名は「いまなら。キャンペーン」。宿泊と日帰りプラン(宿泊施設のレストランや温泉利用など)で利用でき、プランの価格帯による割引額は、▽3000~4499円で2000円▽4500~6999円で3000円▽7000~1万3999円で5000円▽1万4000~2万999円で1万円▽2万1000円以上で1万5000円。利用時は県内在住と確認できる身分証明書や書類などを、宿泊施設に提示する必要がある。

県に登録があるホテル・旅館など計764施設のうち、19日時点で266施設が事業への参加を決めているという。対象施設は、専用ホームページで確認できる。利用方法は、各施設や旅行代理店に申し込んでコンビニエンスストアで割引クーポンを購入(26日午前10時から販売)するか、インターネットの旅行専用サイト(31日から)で申し込む。政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」との併用はできない。【久保聡】


最大7割引というところが、すごい。GoToトラベルは約5割引なので、こちらの方がおトクである。いまならもGoToも、利用できるのは来年1月末まで。奈良県観光の特徴は「県民が県内に泊まらない」ということ。これが足を引っ張り、奈良県の年間宿泊者数は全国でビリから2番目である。皆さん、この機会にぜひ県内にお泊まりください!
コメント (4)
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レジ袋かマイバッグか、コロナ禍で論争

2020年08月25日 | 環境問題
産経新聞のニュースサイト「SankeiBiz」(2020.7.6付)に「レジ袋かマイバッグか、コロナ下での論争 使い捨てプラ安全性で賛否」という記事が出ていた。アメリカのプラスチック工業協会が「繰り返し使うマイバッグの表面に付着したウイルスが長時間生存し、感染拡大の原因となると指摘」したというのだ。「そんなアホな」というような話だが、これに基づきレジ袋禁止を一時中止したり、先送りしたりする州もあるという。以下に全文を貼っておくので、お読みいただきたい。
※トップ写真は「SankeiBiz」から拝借。キャプションは「市民による海岸清掃
で集められたごみ。プラスチックのものが目立つ=2018年5月、千葉市」

使い捨てプラスチックによる深刻な海洋汚染対策として、日本でも遅ればせながら、プラスチック製レジ袋の有料化が始まった。だが、多くの国ではその先を行くさまざまな対策が進んでいる。一方で、深刻化する新型コロナウイルスの感染拡大が、対策の後退を招く恐れも指摘されている。海のプラスチックごみに関する対策や最新の状況を探った。

感染リスク見解相違
「新型コロナウイルスとの闘いが重要な局面を迎える中、使い捨てプラスチック規制の悪影響がかつてないほど目立っている」-。3月、米国のプラスチック工業協会(PIA)は、アザー米厚生長官に書簡を送り「消費者や労働者のリスクとなる性急な使い捨てプラスチックの禁止に反対するよう要請する」と訴えた。

書簡は、繰り返し使うマイバッグの表面に付着したウイルスが長時間生存し、感染拡大の原因となると指摘。「使い捨てプラスチックが最も安全な選択肢だ」と主張した。これは環境保護団体から「プラスチック業界は、レジ袋禁止政策を殺すために新型コロナウイルスを利用している」と激しい反発を呼んだ。

だが、感染拡大が深刻な米国ではカリフォルニア州が使い捨てのプラスチック製レジ袋の禁止を一時中止、ニューヨーク州は3月1日から予定していたレジ袋の禁止を一時、先送りした。大手コーヒーチェーン、スターバックスのように、感染防止の観点からマイカップの利用や店内用食器の中止を決めた例も少なくない。英国政府も3月、オンラインの食品宅配用に限って、2015年に導入した5ペンス(約7円)の課金を今年9月まで免除することを決めた。感染予防と配達時間の短縮が理由だ。

だが、米バージニア海洋科学研究所のロバート・ヘイル教授は「PIAが引用した研究は食品を入れるマイバッグが新型コロナウイルス感染のリスクになることを示すものとはいえず、米国政府も食品容器などがコロナウイルスの感染源となったとの証拠はないとの見解だ」と指摘。「プラスチックに比べて、表面でウイルスが生き残る時間がはるかに短い紙製の方が安全だ」とする。

「長期的な視野必要」
環境保護団体、グリーンピースも「使い捨てプラスチックが、マイバッグやマイカップのようなリユース製品よりも安全だとはいえず、むしろ、廃棄された時の問題が大きい」「基本的な衛生対策をとることで、リユース製品を安全に利用できる」とする声明を発表。これには世界各国の専門家約120人が賛同の署名をした。といっても「規制緩和は一時的なもので、多くの国や地方政府は規制を維持している」(世界銀行の専門家)。

プラスチック問題に詳しい世界経済フォーラムのクリスティン・ヒューズさんは、プラスチックによる海洋汚染の防止という長期的な課題の重要性を強調。「消費者は政府に使い捨てプラスチック規制緩和の見直しを求め、企業には長期的な視野を失わずにプラスチックごみに関する目標を後退させないよう求めてゆくべきだ」としている。


フランスは2040年にプラスチック製容器の全廃や、2030年までに使い捨てペットボトルの半減、2025年までにプラスチックごみ100%リサイクル、という目標を掲げているという。やっとレジ袋有料化が実現した日本も、見習うべきではないか。
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