富久重～昭和の香り、おいしいお肉、されど…

　松山市の中心部からみると東南の方向にある焼肉店の「富久重」さんです。スーパー「フジ立花店」の交差点を東へ行くと、ちょっとした商店街になっています。その中にあります。



　全席畳です。手垢のついた表現ですが、「昭和の香り」ってやつですかね。閉店間際でお客さんの退けたところです。入店した時は、お客さんでいっぱいでした。



　品書きを見ると安い値段設定です。



　黒毛和牛特上タン塩（１０５０円）。吹けば飛ぶようだった某「ぶる」のタンと違って、ちゃんと厚みがあるうえに、大きめのタンでした。



　タン用にレモン汁。タレの方にはゴマが浮いています。



　キムチ（３５０円）です。白菜キムチとカクテキが盛り合わされています。



　そしてお肉のお皿が運ばれてきました。ふつうは平面上に並べられるお肉が、盛り上がっていたので、びっくりしました。



　黒毛和牛上ロース２人前（１９００円×２）です。１切れ１切れが厚く、しかも大きいです。ついつい某「ぶる」の悪夢のように薄薄だった肉と比べてしまいました。きれいなサシが入っていて、焼きすぎないように注意して食べるとおいしいです。



　こちらは黒毛和牛上バラ２人前（１２５０円×２）です。こちらも、やわらかくて、脂の旨みが感じられおいしいです。上ロースとかわりのないおいしさだったので、価格差６５０円を考えると、上バラで十分かもしれません。



　黒毛和牛上ハラミ（９００円）です。こちらは脂分は減りますが、やわらかさはあります。



　量がよく把握できていなかったので、注文してしまっていた黒毛和牛サーロイン（２６００円）です。まさにステーキ状のお肉が焼肉のたれをまとって登場です。大きなお肉をほうばると幸福感が湧き上がります。



　お肉を焼く器具は、昔ながらのコンロです。



　肉質よし、量多し、お値段控えめ、松山の人にとっては超優良焼肉店でしょう。お客さんが入るわけです。しかし、関東人の私には大きな問題点がありました。このかなりの粘度をもつタレが、ものすご～くあまいのです。甘いタレのお店が多い松山の中でも最高度の甘さでした。このお肉を、別の店のタレで食べたらもっともっとよかったんだけど。



　具だくさんのクッパです。



　大量の玉子がうれしい玉子スープ（３５０円）。



　さて『勝手に松山グルメガイド』なる飲食店紹介本が出ました。パラパラと立ち読みすると、あいかわらずのトンデモ本ぶりです。焼肉店ではどの店がおススメされているかというと、なんと「乃み助」です。「乃み助」といえば、学生が行くような廉価店の代表格じゃないですか。「福寿」「食道園」「高麗苑」「アリラン」「三千里」「京城園」…、「乃み助」よりもおいしいお店はいくらでもあると思うのは、私だけでしょうか。この自称松山グルメブログ界の大御所の評価基準って、いったいどんなものなんだろうか。



　「富久重」の店内の壁は、長年の焼肉の焼ける煙と油を吸い込んで煤けています。味があるといえば味があるたたずまい。評価基準不明の『勝手に松山グルメガイド』には、おいしいお店を見つけるコツがのっていました。それがまた陳腐きわまりないのですが、その中に「店内が清潔なこと」とありました。その伝でいけば「富久重」は失格かな。おいしい店の探し方として、私だったら「いいかげんなガイド本が流す情報にまどわされないこと」っていいたいのだけど、どうだろうか。


「富久重」　松山市中村３－３ー１　０８９－９３３－２５００