気持ちが若干停滞気味で、早めに家へ帰ったのですが、
ちょうどNHKで嬉しいニュースを見ました。
德永英明、紅白初出場!
僕と徳さん(と呼ばせて頂きます)の馴れ初めは
長くなるので今日は止めておきますが、
今日は、なぜ今、德永英明が紅白に出るのか、
それを、彼のアルバム「VOCALIST」から
読み解きたいと思います。
知らない方に知っていただきたいので。
德永英明の名前くらいは知っている人が多いと思います。
何と今年デビュー20周年!今、45歳です。見えない!
「レイニーブルー」でデビューし、「輝きながら」でブレイク。
他代表曲といえば「壊れかけのRadio」でしょうか。
他にもたくさん良い曲があります。
最近話題になったといえば、
一時、ウィリス動脈輪閉塞症という病気にかかり、
長期休養した時でしょうか。通称「もやもや病」です。
珍しい病名が知られるきっかけになりました。
ものすごく大雑把に説明すると、
主だった脳の血管が詰まり、生きようとする血管が、
その周りに、ものすごく細かい毛細血管となって表れます。
その影響で、手足のしびれ、言語障害など様々な症状を伴います。
この毛細血管がレントゲンでタバコの煙の様に映る事から、
通称「もやもや病」と呼ばれます。
これで長期休養を余儀なくされましたが、
無事に復帰して今活動しています。
で、今回、なぜ紅白に出ることになったのか。
アルバムのヒットです。
紅白の選定基準は、結構不明瞭で、
発表された時に、「なんでこの人?」と思うこと、
結構あるのではないでしょうか。
それが徳さんにあったらいやだと思い、この場を借りて
説明しているわけです(笑)。
シングル曲のヒットだけが選定基準ではないということです。
そのアルバムが「VOCALIST」です。
いわゆる「1」のリリースが昨年の9月14日。
そして、「VOCALIST2」が今年の8月30日。
「1」の方が最初ロングヒットとなって、
今セールス30万枚を超えています。
「2」の方もロングヒットを続けていて、「1」に迫る勢いです。
で、このアルバムがなぜ売れたか。
まず、「明確なコンセプト」があります。
このアルバムは、男性ヴォーカリストである德永英明が、
女性ヴォーカリストの名曲をカバーするというコンセプトです。
その高い音域、声質、歌唱に定評のある徳さんが、
異性である女性の曲をカバーする、
このコンセプトが見事に当たりました。
せっかくなので、参考までに、徳さんがカバーした曲を下記に。
VOCALIST「1」
01. 時代 (作詞・作曲:中島みゆき)
02. ハナミズキ (作詞:一青窈/作曲:マシコタツロウ)
03. 駅 (作詞・作曲:竹内まりや)
04. 異邦人 (作詞・作曲:久保田早紀)
05. シルエット・ロマンス (作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお)
06. LOVE LOVE LOVE (作詩:吉田美和/作曲:中村正人)
07. 秋桜 (作詞・作曲:さだまさし)
08. 涙そうそう (作詞:森山良子/作曲:BEGIN)
09. オリビアを聴きながら (作詞・作曲:尾崎亜美)
10. ダンスはうまく踊れない (作詞・作曲:井上陽水)
11. 会いたい (作詞:沢ちひろ/作曲:財津和夫)
12. 翼をください (作詞:山上路夫/作曲:村井邦彦)
13. 卒業写真 (作詞・作曲:荒井由実)
VOCALIST「2」
01. 雪の華 (作詞:Satomi/作曲:松本良喜)
02. いい日旅立ち (作詞・作曲:谷村新司)
03. あの日にかえりたい (作詞・作曲:荒井由実)
04. 未来予想図II (作詩・作曲:吉田美和)
05. かもめはかもめ (作詞・作曲:中島みゆき)
06. セカンド・ラブ (作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお)
07. シングル・アゲイン (作詞・作曲:竹内まりや)
08. あなた (作詞・作曲:小坂明子)
09. 恋人よ (作詞・作曲:五輪真弓)
10. なごり雪 (作詞・作曲:伊勢正三)
11. M (作詞:富田京子/作曲:奥居香)
12. 瞳はダイアモンド (作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂)
13. for you… (作詞:大津あきら/作曲:鈴木キサブロー)
凄いですね。名曲ばかり。
元歌を誰が歌ったかは書きませんでしたが、皆分かりますよね。
そして、売れたもう一つの理由。
「カバーの通例を破ったこと」です。
その曲をカバーする場合、
大抵の場合、歌唱力のある人は、
アレンジ含めその曲を「自分色」に染め上げます。
それが、普通のカバーです。
しかし、徳さんはそれをしなかったのです。
まず、女性の曲という一つの壁があり、
それを超えるために徳さんがまずしたことは、
「元歌の歌い回しを徹底的に研究する」こと。
原曲を尊重したのです。
そして、その原曲に近い歌い回しを心がけてレコーディングした、
そう語っていました。
実際、アルバムを聴くと分かりますが、
本来德永英明というのは、とても熱い歌手です。
しかし、ヴォーカリストとして、その曲を自分流に歌いこなすのではなく、
ヴォーカリストとして、その曲をリスペクトして歌う。
そういうスタンスを取ったのです。
これは、病気になったことで、
自分のためじゃなく、人のために歌うことを
考えるようになったからだとどこかで語っていました。
その人色に染まったカバーアルバムはたくさん出ています。
河村隆一、スクープ・オン・サムバディのTAKE、
槇原紀之など、男性歌手も結構出しています。
しかし、これ、その人色に染めると、
その人のファンしか買わないわけです。
曲を聴くというより、その人の歌唱を聴く感じですね。
今回の徳さんのアルバムは、本人のエゴを捨てて、
その曲の歌い回しを優先し、曲に寄り添う歌唱をし、
またアレンジにおいても、華美にするのではなく、
原曲の骨組みをのこして可能な限り色々なものをそぎ落とすことで、
その曲自体の中心部分、良さを引き出すことに成功したわけです。
つまり、德永英明というヴォーカリストが歌っていながら、
その人の「歌唱」を聴くのではなく、その「曲」自体を聴くことになり、
しかし、異性である德永英明が、違った色合いも与えている、
そういう稀有なアルバムになったわけです。
選曲の幅広さや、
コンセプトの明瞭さ、
そしてそのスタンスにより、
德永ファンのみならず、
世代を超えて、幅広く支持されたことが、
ロングヒットという結果に結びついたわけです。
その結果が、今回の紅白出場になった、
そういうわけです。
それにしても、デビュー20周年かと思うと、結構感慨深いですね。
だって、僕が徳さんと出逢ったのは小学6年生の頃ですから。
いやー、歳も取るわけです(苦笑)。
そう、このアルバム、何度聴いても聴き飽きないんですよね。
曲がそもそも良い。そして、その曲を引き立たせるアレンジと歌唱。
「ヴォーカリストの概念を破ったヴォーカリスト」と
勝手に評してみました(笑)。
皆さん、宜しければ、一度聴いてみてください。
徳さん、おめでとう!!!