北朝鮮当局が住民からドルや金を吸い上げ、インフレが助長されている実態が30日までに明らかになった。
北朝鮮の内部事情に精通した消息筋によると、北朝鮮の貿易銀行は公式レートの30倍前後の闇レート(1ドル=2800北朝鮮ウォン)を適用し、住民の両替を喚起している。対外貿易機関は、平安道の金鉱で直接金を集める一方、相場より高い価格で住民から金を買い取っている。
消息筋は「一見住民に恩恵を与えているように見えるが、その実は人為的なインフレを起こし、住民が苦労して集めた外貨や金を吸い上げる作戦だ」と指摘した。北朝鮮では、秋の収穫期を迎え、本来なら下落するはずのコメ価格が8月の1キロ当たり2200ウォンから今月には3000ウォンに上昇している。
北朝鮮当局は、ドル資金を確保するため、体制を動揺させる恐れがある携帯電話端末の販売にも力を入れているという。逓信省は1台80ドル(約6100円)で輸入した中国製携帯電話を住民に300ドル(約2万3000円)で転売する方法で暴利を上げている。消息筋は、これまでの累積販売台数70万台と1台当たり140ドル(約1万1000円)の登録費用を考えると、移動通信分野だけで約2億5000万ドル(約190億円)が当局の懐に入ったとみている。北朝鮮は年内に100万件の契約を目指し、各市・郡の「逓信所」に販売目標を割り当てているという。
北朝鮮当局はまた、米国に住む離散家族に再会を提案し、あっせん料として、数千ドルを要求。再会後も国外の親族に宛て、送金を求める手紙を書かせている。
北朝鮮はさらに、年金生活を送る日本の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の高齢者に「月3万円あれば、北で豊かに暮らせる」などと宣伝し、永住帰国を求めた後、高齢者の死亡事実を日本側に伝えない手口で、年金を着服しているという。
消息筋は「来年『強盛大国』が実現すると宣伝してきた北朝鮮は大規模な政治イベントの財源を確保するため、さまざまな方法を使っている。しかし、インフレ助長、携帯電話普及など体制への負担要因を自らつくり出している」と指摘した。
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