ソウル市江南区の潭洞、新沙洞一帯には、ブランドのフラッグシップショップが密集している。各ブランドのデパートの売り場よりもはるかに広く華やかな店構えだ。フラッグシップとはもともと旗艦という意味で、先頭で艦隊を率いる旗艦のように、ブランドの顔の役割を果たす店舗がフラッグシップショップだ。最近は展示会などのイベントが開かれる文化空間としても活用されている。このようなフラッグシップショップでは、売り上げも伸びているのだろうか。
ファッション専門家のイ・ヒョンボムさんは「江南地区にある有名ブランドのフラッグシップショップは、思ったほど売り上げが伸びていない店舗がほとんどだ。ブランドの主な顧客層は大半がデパートのVIP会員になっており、割引やポイントなどの恩恵を受けられるデパートでブランド品を購入しているため」と話した。1点で数百万ウォン(数十万円)のブランド品の場合、10%の割引でも値引き額が大きくなるからだ。潭洞でフラッグシップショップを展開しているあるブランド関係者は「賃貸料が非常に高いため、ビルを所有していないブランドの場合、フラッグシップショップでの売り上げが損益分岐点を超えることはほとんどない」と話した。
マーケティング代行会社「コミュニク」のシン・ミョン代表は「売り上げは少ない一方、維持費は高いというデメリットはあるが、業界や顧客の間では『潭洞にフラッグシップショップがなければ有名ブランドとはいえない』という認識が広まっているため、実際のブランドイメージはこの地域にふさわしくないが、無理して出店しているケースもある」と話した。ブランドの高級なイメージを植え付けるために、損失覚悟でフラッグシップショップを展開しているというわけだ。
このような状況の中、各ブランドは、フラッグシップショップの維持費を節約するための自衛策を立てている。イ・ヒョンボムさんは「大部分のブランドが、フラッグシップショップを構えるビルの中に自社の事務所を置き、事務所の賃貸に掛かる費用を節約している」と話した。
だが、ビルを所有しているブランドでも問題はある。あるブランドの関係者は「大部分のフラッグシップショップが、ビルの外観を最優先に考えるため、窓がなくて風通しが悪く、採光も良くない。オフィスビルとしては非常に非効率的で、借り手が付きにくい構造だ」と話した。つまり、賃貸収益を十分に得られないというわけだ。
結局フラッグシップショップは、売り上げの側面だけを見ると、見かけ倒しともいえる。それなのに、なぜ各ブランドは先を争ってフラッグシップショップを展開しているのだろうか。LGファッションのイ・サンホ課長は「最初からフラッグシップショップは売り上げを期待しているわけではない。自社のブランドをPRし、イメージを浸透させるという広告・宣伝効果があるため、売り上げ以上の意味を持つ」と説明した。
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