4月15日、北朝鮮・平壌で開かれた軍事パレードで初めて演説を行った金正恩。テレビのニュースでは、そんな金正恩を褒めたたえる国民の映像が流れるが、実情は異なるという。韓国のインターネット新聞「デイリーNK」東京支局長の高英起さんはこう話す。
「内心では金正恩について『ブクブク太りやがって』と思っている国民は結構います。朝鮮半島は年配を敬う儒教文化。にもかかわらず、金正恩が祖父世代の“部下”をゾロゾロ引き連れている映像を見て、『若造が偉そうに』と違和感を持つ人も結構多いですね」
祖父と父の威を借る金正恩だが、完全に踏襲しているわけではない。最初の異変は、テレビの看板アナウンサーだった。
金正日時代は、“将軍さま”の動向を力のこもった独特の抑揚で伝え続けた朝鮮中央放送のリ・チュンヒさんが重用された。だが、リさんは昨年末の金正日死去の放送を最後に、なぜか姿を消してしまった。代わりに、1月からは、20代と思われる美人女子アナが登場。
「北朝鮮のテレビ放送は、国営放送のみ。指導者の動向を伝える看板アナウンサーは、国民のイメージを左右する重要な役割です。したがって、アナウンサーの交代にも、金正恩の好みが当然反映されています」(高さん)
なお、4月13日のミサイル発射失敗を伝えるニュースでは、久々にリ・チュンヒさんが登場。新人アナでは心許ないと思ったのかもしれない。
北朝鮮といえば、大イベントに登場して脚光を浴びる美女軍団「喜び組」も有名だ。喜び組には歌って踊る「歌舞組」、マッサージをする「幸福組」、性的奉仕をする「満足組」など各々の役割があり、資格は18~25才の処女かつ美人とされる。
「彼女たちは、時の指導者層の好みにより、芸術大学などから集められます。朝鮮労働党の最高幹部といった特権階級が喜び組のパーティーに招かれ、接待を受けるのです」(高さん)
しかし金正恩時代の到来とともに、彼女たちは厳しい現実にさらされるようだ。
「金正恩には彼なりの好みがある。父の代の喜び組を『親父のお古とはつきあえない』と見限り、メンバーを入れ替えて新しい喜び組をつくると考えられます」(高さん)
金正恩は3年前に、直属の高級オーケストラ「ウナス管弦楽団」を創設。2012年3月にフランス公演を開くなど、こちらが広告塔に代わる可能性がある。
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