脱北者の送還阻止へ 韓国が中国に当局者派遣

　中国で北朝鮮脱出住民（脱北者）が30人近く拘束され、中国政府が北朝鮮に送還しようとしている問題で、韓国政府は6日、これを阻止するために外交通商部の担当課長を中国に派遣した。脱北者の中には、北朝鮮を離れた後に韓国で暮らしていた韓国籍保有者が2人含まれている。
　韓国の外交当局者は同日、脱北者の送還について「中国政府から調査に時間がかると連絡があった。6日中の送還の可能性は低くなった」と述べた。中国政府は「韓国側の関心や憂慮について理解している」とした上で、国慶節（建国記念日）の大型連休中にもかかわらず、当局者が事実関係を急いで確認しているという。
　韓国政府は6日、外交通商部のホ・スンジェ東北アジア第3課長を脱北者が拘束されている中国吉林省の延辺朝鮮族自治州に派遣。中国当局に働きかけを行う方針。
　逮捕・拘束された脱北者の人数については、「当初35人と伝えられたが、30人未満のようだ」と別の韓国政府当局者は述べた。韓国政府は先週、このうち2人が韓国籍であることを把握したという。
　韓国政府の当局者は「少なくとも2人は韓国の保護権の下にある。韓国の旅券を持っている人を北朝鮮に送還させることはできない」と強い姿勢で臨む姿勢を表明した。韓国政府は拘束されている脱北者全員の送還に反対している。