政府の規制緩和で売春宿や賭博場の入居が増える
10日午前1時ごろ、大規模なビルや飲食店などが密集する、ソウル市江南区大峙洞の地下鉄宣陵駅近くのオフィステル(住居兼事務室)のロビー。30代の男性3人が、酒のにおいを漂わせながらエレベーターを待っていた。
「ここの女性たちは大丈夫なのか。警察の取り締まりに遭ったりしないだろうか」
「大丈夫だよ。おれが何度も来たところだ。心配はない」
3人と少し離れた場所でエレベーターを待っていた30代の主婦は、3人が乗ったエレベーターを見送り、次のエレベーターに乗った。主婦は「このオフィステルの13階かどこかに売春業者が入っている。(3人が)そこへ行く客だということは分かっている。同じエレベーターには乗りたくない」と話した。
このオフィステルは「オフィスガール(オフィステルで営業する売春婦)」が多いとして、江南一帯で知れ渡っている。風俗街にばらまかれる半裸の女性の写真や、携帯電話の番号が書かれた名刺サイズの広告には、このオフィステルの住所が書かれている。
麻浦区のあるオフィステルにはあんまマッサージ店が入り、毎晩遅くまで客足が絶えない。酒に酔った男性たちが売春婦たちと口論する様子もたびたび見られる。このオフィステルに住む会社員Yさん(37)は「妻を残して地方へ3-4日間出張に行くたび、不安になって仕事が手に付かなくなる」と話した。
「ハウス」と呼ばれる違法な賭博場が入っているオフィステルもある。ソウル江南警察署は今月1日、江南区内のオフィステルで違法な賭博をした容疑で、J容疑者(36)ら62人を一斉に検挙した。また、今年4月にも、瑞草区瑞草洞の検察庁庁舎の前や江南区開浦洞のオフィステルで営業していた賭博場が摘発された。昨年9月には、私設競馬場に改造された江南地区のオフィステルが摘発されたこともある。
警察の関係者は「江南地区一帯の駅や風俗街の近くにあるオフィステル、麻浦など都心から少し離れた地域にある一部のオフィステルなどは、売春業者が入居し、犯罪の温床になっている」と話した。
もともと、オフィステルは住居専用の建物ではないが、国土海洋部(省に相当)が昨年6月、小規模な住宅が不足している現状を踏まえ、オフィステルへの床暖房や浴室の設置を許可して以来、オフィステルをワンルームマンションのように利用する新婚夫婦や単身者が増えた。こうした入居者たちは、オフィステルに売春業者や賭博場など違法な業者が入っていることによる不安感を訴えている。オフィステルは今や、住居と売春宿と賭博場が同居する建物に変ぼうした。
入居者たちの不満は高まる一方だ。売春業者が入居している江南駅近くのオフィステルに住む会社員Lさん(26)は「夜遅く帰宅するたびに、酒のにおいを漂わせた男たちが、私を売春婦だと思ったのか、変な目つきで見ている。一日も早く引っ越したい」と話した。
住宅産業研究院の南煕竜(ナム・ヒヨン)院長は「政府がオフィステルを、小規模な住宅の代わりとして活用するためには、オフィステルの住居としての環境を改善することが急務だ。売春業者などの違法な業者が入居しないよう、取り締まりを強化すべきだ」と指摘した。
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