北朝鮮、金正恩氏夫人の名前を公開

　北朝鮮が25日、金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党第1書記の夫人の名前を公開した。朝鮮中央テレビはこの日午後8時、平壌市内の綾羅人民遊園地の竣工式の様子を伝え「金正恩元帥が夫人のリ・ソルジュ同志（写真）と共に竣工式に出席した」と報じた。今月に入り、金第1書記と共に主な行事に姿を見せ、さまざまな憶測を呼んでいた「妙齢の女性」の正体は、これにより明らかになった。

　夫人の出自について、韓国政府の消息筋は「昨年まで、北朝鮮の銀河水管弦楽団などで『李雪珠（リ・ソルジュ）』という名前の歌手が活動していた。この人物が正恩氏の夫人だとみられる」と語った。

　実際、昨年1月に朝鮮中央テレビが放送した銀河水管弦楽団の新年音楽会の映像を見ると、李雪珠という歌手が『兵士の足跡』という歌を歌う場面が登場する。丸顔や耳、八重歯などが、最近公開された夫人の姿とよく似ている。前出の消息筋は「北朝鮮側の報道によると、故・金正日（キム・ジョンイル）総書記と正恩氏は、2010年12月31日にこの音楽会を観覧した。正恩氏が音楽会で李雪珠氏に一目ぼれし、結婚相手としてマークした可能性がある」と語った。

　一方、北朝鮮情報に詳しい別の消息筋も「正恩氏夫人の李雪珠氏は、人民保安部（省に相当）の協奏団などで芸術活動に従事していたと聞いている。正恩氏と結婚するに当たり、金日成（キム・イルソン）総合大学の特別クラスで6カ月ほどファーストレディーとしての教育も受けた」と述べた。

　音楽団出身の李雪珠氏が正恩氏の夫人だと確認された場合、金正日総書記と正恩氏は共に、芸術家（金総書記夫人の故・高英姫〈コ・ヨンヒ〉氏は舞踊家）を配偶者として迎えたことになる。北朝鮮で高官だった脱北者は「芸術家と結婚するということまで父親に似ている」と話した。

　北朝鮮が最高指導者の配偶者について「夫人」と紹介したのは、金日成政権樹立以来初めてのことだ。金正日総書記の場合、正恩氏の生母の高英姫氏をはじめ、故ソン・ヘリム氏や金玉（キム・オク）氏など4－5人の女性を配偶者として迎えたが、北朝鮮側はこれらの女性を「夫人」と呼んだことはなく、その存在自体も対外的に秘密にしてきた。

　李雪珠氏の顔が初めてメディアに登場したのは、今月7日に行われた牡丹峰楽団の公演の際、正恩氏と並んで座る様子が公開されたときだ。当時、北朝鮮専門家の間では、正恩氏の妹のヨジョン氏だという説や、もう一人の妹とされるジョンオク氏だという説、配偶者だとする説、牡丹峰楽団の関係者だとする説などが飛び交った。だが、金日成主席の18周忌に当たる今月8日、金主席の遺体が保存されている錦繍山太陽宮殿を正恩氏が参拝した際、再び李雪珠氏が同行する様子が公開されたため、配偶者だとする説が有力になっていた。