元脱北者が一般職公務員に、韓国初

　韓国で初めて元脱北者の一般職公務員が誕生した。京畿道が元脱北者を対象に実施した一般行政職公務員（8級）の採用試験で、47倍の競争率をくぐり抜けて合格した咸鏡南道端川市出身のイ・スヒョクさん（33）＝写真＝だ。イさんは「まだ驚いている。韓国に来て10年にして、ようやく望んでいた仕事に就けてうれしい」と喜びを語った。

 

　イさんは今月末ごろに京畿道北部庁舎の南北交流・協力課に配属され、南北統一教育に関する業務を手掛けることになる。全国の地方自治体では、京畿道の30人を含め65人の元脱北者が公務員として勤務しているが、いずれも契約職だ。

 

　イさんは北朝鮮で高校卒業後、1998年に兄と一緒に脱北。高校教諭で何度か中国を訪れた母親から韓国のことを聞き、亡命を決意したという。中国で農業や林業に従事しながら暮らし、2002年に在中アルバニア大使館に駆け込み、韓国への亡命を果たした。韓国では全南大学の中文学科を卒業した。

 

　イさんは「私と兄が脱北した後、母親が政治犯収容所に連行されたと聞いた。そのため、統一は私にとって特に切実な問題だ。韓国の若者たちにもっと統一問題に関心を持ってもらえるよう、一生懸命働きたい」と抱負を語った。