脱北者でソウル市に務める公務員が国家保安法違反(目的遂行、特殊潜入・脱出など)の容疑で国家情報院要員により逮捕された。国家情報院と検察は21日、ソウル市庁福祉政策課の脱北者担当主務官のユ容疑者を11日に逮捕し調査中だと明らかにした。ユ容疑者は北朝鮮の国家安全保衛部の指令によりソウル市内に住む脱北者の資料をまるごと北朝鮮側に渡した容疑を受けている。脱北者出身公務員がスパイ容疑で逮捕されたのは今回が初めてだ。
咸鏡北道(ハムギョンブクド)の清津(チョンジン)医大を出て1年ほど外科医師生活をしたユ容疑者は2004年に1人で脱北し韓国にきた。2011年6月に脱北者を対象としたソウル市の特別採用で2年契約職に合格しソウル市に勤めていた。ユ容疑者は昨年地上波テレビの北朝鮮関連番組で紹介されたりもした。ある対北朝鮮専門メディアとのインタビューでは、「脱北者出身公務員と言うと相談を受けに来た脱北者の方が驚く。一般公務員よりも信頼感を持たれる。韓半島に大きい変化がある時に寄与したい」と抱負を明らかにした。
ユ容疑者は脱北者名簿と韓国定着状況、生活環境など関連情報を北朝鮮側に提供したという容疑を受けている。韓国内にいる脱北者2万4000人余りのうちソウルに居住する1万人余りの資料が流出したものと当局は把握している。2004年に脱北し韓国に来た後、中国を通じ何回も北朝鮮に出入りした事実も捜査の結果で明らかになった。
ユ容疑者は内偵の事実に感づき海外に逃げようとしたと当局は把握している。捜査当局はユ容疑者がスパイ活動をするために計画的にソウル市公務員試験に受験したのかと、資料を北朝鮮に渡した過程などを調査している。ソウル市庁関係者は、「ユ容疑者を頼る脱北者が多く、脱北ルートや北朝鮮の人的事項なども多く知っているだろう」と話した。
ユ容疑者が脱北者関連資料を渡したのが事実である場合、テロや北朝鮮帰還を勧めるのに悪用されかねないという懸念が出てくる。昨年5月に脱北者のパク・インスク氏が北朝鮮に渡ったように、北朝鮮の脱北者懐柔工作により北朝鮮に戻る事例が生じることがありえるという指摘だ。当局はユ容疑者の身柄を近くソウル中央地検公安1部に引き渡す方針だ。また、ユ容疑者と共謀した容疑がある2~3人を追加で内偵中だ。ユ容疑者は関連容疑を否認しているという。
最近脱北者スパイが増え公安当局の脱北者管理も非常事態となった。国家情報院によるとこの5年間に脱北者に偽装したスパイ11人が検挙されている。
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