韓国の経済成長率、物価上昇率以下か

　今年の韓国の経済成長率が予想よりも低い数値となり、物価上昇率を下回るのではないかという見通しが相次いで示されている。経済成長率が物価上昇率に満たない場合、物価高と不況が同時に到来するスタグフレーションが起きる懸念も高まる。しかし、韓国の成長率予測は4％台で、先進国に比べると高く、現時点でスタグフレーションの可能性は低い。

 

　金融研究院は、4日に発表した今年下半期の経済見通しで、今年の経済成長率予測値をこれまでの4.4％から4.1％へと下方修正した。同院は今年の消費者物価上昇率を4.2％と予想しており、経済成長率が物価上昇率を0.1ポイント下回ることになる。

 

　同院は「米国など主な先進国の景気回復が遅れ、輸出が鈍化し、金融市場の変動性が高まり、消費条件も悪化したため、成長率見通しを下方修正した」と説明した。その上で、大雨などの異常気象やサービス料金の値上がりなどで、物価は下半期も高水準を維持するのではないか、と予測した。

 

　金融研究院だけでなく、4月に経済見通しを発表した韓国経済研究院は、今年の物価上昇率を4.2％、経済成長率を3.9％と予測している。

 

　一方、外国系の投資銀行も韓国の成長率予測を相次いで引き下げ、経済成長率の予測値が物価上昇率の予測値を下回っている。

 

　国際金融センターによると、8月末現在で外資系投資銀行9行が提示した今年の成長率予測の平均は4.0％で、前月（4.2％）に比べ低下した。一方、9行が予測した消費者物価上昇率の平均は同じ期間に4.0％から4.2％へと上昇した。

 

　漢陽大のハ・ジュンギョン教授は「海外の景気悪化により、今後の輸出見通しが思わしくなく、政府はウォン安政策を取る可能性がある。このため、下半期も物価が高い状態が続くのではないか」と分析した。