韓国には「割り勘」という習慣がありません。
もっとも、最近は韓国もかなり日本的になり、若い人たちに間では割り勘にする事もあるようですが、まだ一般的に割り勘は浸透していません。
割り勘をしないということは、立場は二者択一です。
おごるか、おごられるかです。
相手がおごってくれるならば「いや、気前がいいな」という気分になりなすが、おごる側になると「ちょっとしんどい」と思います。
それでも、割り勘にしないのが韓国人の気質のようです。
おごる、おごられるには三つのルールがあります。
一つは、当たり前のことですが、金持ちが支払います。
飲食の席で、貧しい人が支払ったら、金持ちの意味がありません。
もちろん、韓国の場合、持っている者がおごるのは当然と考えています。
金持ちは、今は成功して羽振りの良い暮らしをしていますが、この世は一寸先は闇ですから、いつ倒産の憂き目にあったり、両手を上げるほど追い込まれないとも限りません。
お金のあるうちに貸しをつくっておけば、もし自分が失敗して落ちてしまったとき、救いの手をさしのべてくれるだろう。
お金持ちがおごるのは、そんな理由もあるようです。
次に、立場の上の者が支払います。
簡単に言うと、交換する名刺の肩書きが、一方が課長で、もう一方が部長代理だとしたら、飲食代は役職が上にある部長代理が持ちます。
上司と部下が飲みに行く場合も、部下がお金を出すことはありません。
すべて上司持ちというのが暗黙の了解となっているようです。
では、同じ課長同士だったら、どうするのでしょうか。
そのときは、年上の者が支払います。
これが三つ目のルールです。
最近は、みな若々しくなり、見た目で実年齢を判断するのが難しいこともあります。
そういうときは、時候の挨拶のように相手の年齢や生まれ年をそれとなく確認するのですが、財布に余裕のない人は自分から口火を切ります。
たとえば、相手に対して「ところで、何年生まれですか」と聞くのです。
仮に相手が「1967年生まれですよ」と答えたら、66年生まれの年上ならば「いやあ、私は68年生まれなんですよ」とサバをあずめばいいのです。
そうすれば、支払いはすべて相手持ち、財布の中を気にすることなく、心ゆくまでご馳走に預かることができます。
一度年上の韓国人と一緒に食事をしてみてください。
なんて韓国人は気前がいいのだろうと思ってしまいます。
逆に言えば、おごる側にまわると、あまりの図々しさに、あきれかえるほど散財することを覚悟しなくてはなりません。
それが韓国人とのつき合い方であり、互いにできるだけ貸し借りをつくらないようにする日本人とのつき合い方との違いです。
ですからお金持ちや上司、年上の人を前に、「ここは私が持ちます」と言うのは失礼に当たります。
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