松本零士の最初のイメージは、少年マガジンに連載され、四畳半漫画と呼ばれた『男おいどん』だった。その人が『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』で、華麗に変身した時は驚いたものだった。
『銀河鉄道999』(79)(1983.3.27.)
先日、「NHK特集 ジョバンニの銀河1983」を見た際に、宮沢賢治の世界をあんなふうに映像化できるのかと思い、だとすれば、このアニメ映画も、形を変えた賢治の世界の映像化なのかもしれないという気がしたので、ビデオで見てみた。
そして、大満足とはいかないものの、ただのミーハーアニメではないことを思い知らされた。そこには、少年(星野鉄郎)の大人への成長、あるいは、人間本来の姿とは? 生と死とは? といった、少々哲学っぽい命題が描かれていたのである。
これは、監修に市川崑、監督にりんたろう、脚本に石森史郎を用いた点も大きかったのだろうが、同じ原作者(松本零士)の「宇宙戦艦ヤマト」シリーズのように、死や戦争を美化し、“さらば”を連発して、商魂のたくましさを発揮するものとは根本から違うのだという気がする。
まあ、そうした対照的な2作を、同じ原作者が生み出しているというのも、人間の二面性を見るようで面白いのだが。
【今の一言】ゴダイゴのテーマ曲はいまさらながら名曲だと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=uTqUiqszKAg