D・W・グリフィスの『国民の創生』(1915)のリンカーンを皮切りに、ハリウッド映画は、実在と架空を交えながら、大統領を描き続けてきた。本書は、ルーズベルト、ケネディ、レーガン、そして現在のトランプといった歴代の大統領を軸に、政治と映画との相互作用について書かれている。
興味深い内容ではあったが、映画に対する思い入れがあまり感じられず、ただタイトルと簡単な内容を羅列しているだけ、という印象を受けた。唯一気になったのは、『デーヴ』(93)の基になったという『お化け大統領』(32)だった。
筆者が大学教授であり、蓮實重彦や四方田犬彦を引用するところに、映画関連本としての限界や、映画学術書的な線を狙った本書の特徴が表れていると思った。