田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『銀幕ミステリー倶楽部』(新保博久編)

2019-12-19 08:19:23 | ブックレビュー

 映画が登場する短編ミステリーを集めたアンソロジー。

 乱歩流映画の捉え方を記した随筆。「映画の恐怖」(江戸川乱歩)

 乱歩名義で横溝が書いた一編。埋めた死体が映画に映る。「あ・てる・てえる・ふいるむ」(横溝正史)

 筆者お得意の猟奇的で奇想天外なトリック。「首切り監督」(霞流一)

 『カツベン!』にも通じる押川春浪と無声映画。「大喝采」(横田順彌)

 もう一つの“映画『悪魔の手毬唄』”。「「悪魔の手毬唄」殺人事件」(小林久三)

 『ふしぎな名画座』所収のしゃれた一編。「「ローマの休日」届」(赤川次郎)

 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に掛けた。「りんごの聖戦」(山田正紀)

 ムッソリーニとイタリア版忠臣蔵という冗談小説。「死都(ポンペイ)の怪人」(辰野九紫)

 『王子と踊子』のマリリン・モンローとローレンス・オリビエ、そしてビビアン・リーが登場する。「ヴィヴィアン・リー失踪事件」(荻野アンナ)

 映画鑑賞をアリバイに1。「完全不在証明(アリバイ)」(木々高太郎)

 映画鑑賞をアリバイに2。「証言」(松本清張)

 文豪による優れた怪奇映画譚。「人面疽」(谷崎潤一郎)

 既読のものも数編あったが、新旧取り混ぜたなかなか興味深い短編集だった。続編を期待したい。


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