TAMO2ちんのお気持ち

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読書メモ:『再生可能エネルギー熱』

2024-08-04 20:24:44 | 読書

 『再生可能エネルギー熱』(柴芳郎著、幻冬舎)

 再生可能エネルギーと言えば、太陽光や風力が思い浮かぶ。ここでは、その言葉に「熱」とついている。これは、地熱や太陽熱のことをまず思い出す。が、それだけではない。温度差があれば、原理的にはエネルギー源として利用できるのだ。世界のエネルギー消費の半分くらいは熱源である。単に化石燃料を燃やして熱源としているのは熱力学的にとても勿体ないのだ。

 キーテクノロジーはヒートポンプと制御工学。特に、日本はヒートポンプの能力と価格に優位性がある。専門用語の解説は検索に譲るとして、COPは世界では3程度だが、日本では加熱で5、冷却で4程度である(得られる温度によって異なる)。

 冷暖房で広まっているが、活用はまだまだであり、日本の技術もまだまだ世界で展開される余地がある。

 廃熱利用と温泉系の利用はエンジニアの間では結構知られているかな。雪の利用も30年くらい前の化学工学でちょっと流行したかな。面白いのは、10m以下の地面の安定領域を活用するという「地中熱活用」。井戸水も良い。バイオマスなどを組み合わせ、地産地消。

 評価の仕方としては、ZEB、ZEH、BELS、CASBEE。工場クラスでもエネルギーを40%削減(アレフ北海道工場)。透析装置はエネルギーを大量に消費する(体温まで水を加熱する必要がある)が、その温度の水の熱をヒートポンプを用いて熱回収。(八戸の平成会八戸平和病院) 勿論、温泉での熱回収も。離島では海水淡水化と給湯に。(竹富島、「ゼネラルヒートポンプ工業株式会社、株式会社エナジア」)。再生可能エネルギー情報提供システムREPOSを環境省は立ち上げている。

 多種多様な熱回収システムがされている。この経験を世界に広めると、脱炭素にかなり貢献できるだろう。なお、著者は「ゼネラルヒートポンプ工業株式会社代表取締役」。エンジニアとして共感した文章をp174より。
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 次世代へ引き継いでほしい技術も当然ありますが、いちばん伝えたいのは「診立ての力」です。名医の診立ては、勘や気分で出てきているわけではなく、積み重ねた症例に裏打ちされたひらめきによってもたらされています。

 技術は常に更新され、今の先端の知識や技術はあっという間に古びていきます。画期的な新発見により、常識が根底から覆されることもあります。しかし、そのような激流のなかでも、本質を見失うことなく――再生可能エネルギー熱の特性を徹底して突き詰め、熱利用の意義を考えて、膨大に広がる情報に立ち向かってもらいたい。

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