TAMO2ちんのお気持ち

リベラルもすなるお気持ち表明を、激派のおいらもしてみむとてするなり。

読書メモ:『論座2007.4「グッとくる左翼」』その1

2007-04-05 23:24:09 | 読書
雨宮処凛『「貧乏」を逆手に反撃が始まった』
 元右翼として有名な人。壊れそうな己のアイデンティティーを支えるために、国家萌えとなり、右翼団体に加入。別に左翼でも良かったんだけど、右翼のほうが敵を明示して分かり易かった。左翼はソ連崩壊で、分かり易さを失っていたという背景がありそう。彼女が右翼に行ったのは、本当に揺らぎだと思う。そして、世の中が不安定だから、揺らぎは極端に走らせるのだ。しかし、プレカリアートという言葉と出会い、そちらのほうが実感を説明してくれたので、左傾。「若者が不安定さをしいられる社会。悪いのは決してあなたではない、そのことを確信を持って当事者に言えるのだ。これはなんという希望だろう。」

 彼女は今、素人の乱に注目しているようだ。大人たちの言う真っ当な暮らしはもう、若い人には期待できない。無理に食い込もうとすれば過労死するまで資本にしゃぶり尽くされる。ならば、状況を逆手に取り、貧乏を楽しみ、それが必要ならしめる連帯を楽しめばいいのだ。政治革命からはじめる左翼綱領は破綻した。じゃあ、社会革命からはじめてしまえ!


素人の乱×高円寺 地位でもなく、おカネでもなく、とりあえず、こたつ。
貧乏をどのように逆手に取るか。地元と結びつくか。コタツは、一緒に入るだけで仲間だ。しかも、もって行けば道路などの通路が「日常生活空間」というその場にあっては非・日常空間となる。肩肘張らずに楽しむところがいい。昔からの左翼はふざけていると怒りそうだが、日常の先にマルクスやらの理論があるんだから、そりゃあ怒るほうが間違っている。
「ほぼ毎日働く松本さんの収入は月に15万円ほど。必要な利益以上はも止めない。余分なおカネは、正しく使うことが難しいから。儲けることに懸命にならなければ、生活に時間の余裕が生まれる。」エンデのモモだな。

毛利嘉孝 ストリートが左翼を取り返す
 これまた素人の乱。「私たちゴリゴリの左翼なんですぅ」と若い女性。勿論、ギャグ。ゴリサヨはもう、冗談のネタの時代なのだ。とはいえ、自分たちの感性で時代に立ち向かっている。「既存のあり方とは異なる政治を模索しようとしているのだ。」論者は日本左翼破綻の理由について書くが、これは『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』と重なろう。階級が変容したこと。正社員は勝ち組。正規雇用者や公務員の既得権益者およびその擁護者としての組合 vs 非正規雇用者という悲しい現実。後者に依拠出来なかった左翼の現実。ャXトモダンにおけるイデオロギー批判の失効。絶対性の喪失。時代の基準は楽しいかどうかになったのに、楽しい=不真面目という左翼の感性の頓馬(頓磨)。左翼発言をする人は、象牙の塔などの特権階級。どんなに正しくても、現在のプロレタリアがそんな言説に耳を向けるだろうか?(大学解体闘争は何だったんだろう?)

 で、旧来の左翼とは関係ないところから、左翼の再生はある。Radical Left Laughter。高円寺マルチチュード(有象無象)派。使われるスローガンは「自転車を返せ」「家賃をタダに」「クリスマス粉砕」。お笑いネタのようだが、ラディカルな批判でもある。祝祭空間をデモで現出する。「「ストリートを取り返せ」(RTS)は、90年代に自動車と資本主義によって占拠された道路を音楽とダンスによって取り戻そうとした。今度はそのストリートが、失敗した「左翼を取り返す」番かもしれない。
コメント (1)
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