長野県/司法書士竹内利一♪【黒姫法律実務研究所】

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【法律】通信販売業者に業務停止命令

2007-08-25 | Weblog
経済産業省は,通信販売事業者2社に対し,3ヶ月間の業務停止を命令しました。

http://www.meti.go.jp/press/20070824003/bac.pdf

【違反項目】
▽虚偽・誇大広告違反(特定商取引法第12条)
▽広告表示義務違反(特定商取引法第11条第1項)→登記簿上の正式な商号を表示しないで,通称しか表示していなかったそうです。

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余談ですが(そのうちあぽーんだな),

【合理的な根拠を示す資料が必要】
特定商取引法第12条の2では,○○の効果がある,○○の性能があるなど広告・宣伝の表示を裏付けるための合理的な根拠を示す資料の提出を求められたのに,提出しない場合,虚偽・誇大な広告であるとみなされます(見做規定)。

【社内審査はしていたのかな?】
そのため,
企業法務では,商品の広告・宣伝を行うに当たって,法定記載事項として記述すべき内容に不足がないか,消費者に誤解を与える表現がないか十分に審査する必要があります。

【発言に力がある人には弱いのかな?】
広告の表現の修正を社内で提案した場合,「何を硬いこと言ってるんだ!他社もやってるじゃないか!」と営業部長や役員に声高に主張されると,しり込みしてしまう社員の人も多いのではないでしょうか。

【社内の力関係】
コストセンター(管理部門)の法務部門は,プロフィットセンター(利益部門)の営業部門より弱い立場のところが多いのではないでしょうか。広告で顧客をとろうとしているのに,利益を上げない部門が偉そうなことをいうな!みたいな感じです。

【責任は法務・審査部門】
法務部門がそもそもなく総務部門だけの企業も多いと思いますが,行政処分が出たら出たで,「事前審査しているのに,何故もっと問題があることをきちんと根気よく説明しなかったのか!」と責められることもあると思います。

【傾向と対策】
「絶対」法令違反と判断できるケースは指摘すれば納得してもらえるハズなのでいいのですが,「なんとなく」法令違反ぽくない?というケースでは,広告で攻めの表現を採用する必要はないことを心に留めておくことが重要です。判断に迷ったら他社の例を見るのではなく,自分が消費者の立場で見たらどうとるか考えたほうが良いのです。問題があると断定できなくても疑問があれば,「稟議書」や添付「広告原案」に行政処分リスクや信用喪失リスクがあるなどコメントを付けて注意を促しましょう。顧問弁護士がいる会社であれば顧問弁護士の意見を取っておくのも良いでしょう。

そこまでやって,後日問題が発生したら,最後は決裁権限者(担当役員)の責任と開き直りましょう。