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チェルノブイリとフクシマの比較

2016-12-21 08:30:17 | エネルギー
チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)
スベトラーナ・アレクシエービッチ
岩波書店


 チェルノブイリ事故で放出された核燃料は装荷量180tの内7-10t程度だと推計されている。福島第一原発で事故を起こした1-3号機炉心内燃料及び3号機燃料プール核燃料総重量は69+94+94+89=346tである。
 米原子力規制委員会(NRC)報告では福一放射能大気放出規模 、2号機原子炉の核燃料の25%(23t)、3号機核燃プールの核燃の50%(44.5t)、4号機核燃プールの核燃の100%が大気放出となっている。事後確認された所、4号機核燃料プールは健全だとされた。炉心溶融については1号機は炉心の約55%、2号機は約30%、3号機は約35%としている。14日3号機燃料プール爆発だけでも、かなりの量の核燃料が散乱してしまったが、大半は原発構内や海側に落ちた。むしろ危惧すべきは15日2号機格納容器破損によるドライベント、同日4号機爆発火災や21日3号機原子炉からの溶融核燃料放出による放射能雲の降雨沈着だと推測される。各科学者の発言などを総合すると、福島第一原発はチェルノブイリの2-5倍の放射能を放出したと考えられる。
 アメリカ政府が福島原発事故で発生したセシウム放出量を計算してみたところ、チェルノブイリ原発事故の1.8倍に匹敵する18.1京ベクレルだったことが判明した。チェルノブイリ原発事故のセシウム放出量は10.5京ベクレルとなっている。
 人口減少国最下位20カ国の内、グルジア、モルドバ、リトアニア、ウクライナ、ブルガリア、ベラルーシ、ラトビア、ルーマニア、ロシア、ハンガリー、クロアチア、エストニア、ポーランドの実に13ヶ国がチェルノブイリ周辺国である。ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの三国で1243万人、ブルガリアとルーマニアで504万人、その他8ヶ国で417万人、合計で2164万人が20年弱の間に減少している。ソ連邦崩壊よる経済的混乱や移民による国外流出もあるから一概にチェルノブイリの影響とは言えないが、一定の指標になるだろう。ちなみに、1平方kmあたりの人口は、ベラルーシが50人、クライナが79人に対し、日本は340人、東京都は6000人、都内で最も稠密な豊島区は実に21000人である。
 日本は福島第一原発事故後、人口減少に突入している。それだけに留まらず、交通機関のトラブルや交通事故が増加している。事故前にはあまり見られなかった路上での行き倒れも増加している。疾病も増加傾向にあり、人口減少が顕著になる前に産業機能が麻痺する形で社会問題となって放射能禍が顕在化していくと考えられる。



調査報告 チェルノブイリ被害の全貌
アレクセイ・V.ヤブロコフ
岩波書店

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