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【研究成果】ソ連の北方四島占領作戦をアメリカが軍事支援していた!

2017-12-31 11:06:19 | 帝国

 ヤルタ会談の協定で、ソ連に対して南サハリン(南樺太)や千島列島(クリル諸島)の割譲と対日参戦が密約されたことは良く知られた事実である。また、米国が日本に四島一括返還を求めて、日露関係改善を妨害しているというのも周知となっている。(1)
 ところが驚くことに、米国がソ連の軍による北方四島占領作戦に米国が艦船10隻を貸与していたことが、研究成果として発表された。

根室振興局の調査結果によると、樺太南部の返還と千島列島の引き渡しと引き換えに、ソ連の対日参戦が決まった45年2月のヤルタ会談の直後、ともに連合国だった米ソは「プロジェクト・フラ」と呼ばれる合同の極秘作戦をスタートさせた。
米国は45年5~9月に掃海艇55隻、上陸用舟艇30隻、護衛艦28隻など計145隻の艦船をソ連に無償貸与。4~8月にはソ連兵約1万2千人を米アラスカ州コールドベイの基地に集め、艦船やレーダーの習熟訓練を行った。コールドベイには常時1500人の米軍スタッフが詰め、ソ連兵の指導に当たったという。
訓練を受けたソ連兵と貸与艦船は樺太南部や千島列島の作戦に投入された。8月28日からの択捉、国後、色丹、歯舞の四島占領作戦には、米の貸与艦船10隻を含む17隻が参加。ソ連軍は各島で日本兵の武装解除を行い、四島の占領は9月5日までに完了した。(2)

 1956年8月、後に【ダレスの恫喝】で有名になる会談が行われた。アメリカのジョン・フォスター・ダレス国務長官が日本の重光葵外相とロンドンで会談した際に、日本がソ連との間で2島返還で講和した場合は、沖縄を日本に返さないことを示唆した。当時の沖縄は「琉球列島米国民政府」が統治していた。

 1956年10月19日、ソ連モスクワで日本の鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相は「日ソ共同宣言」に署名した。共同宣言の主な内容は「日ソ戦争状態の終了」、「外交・領事関係の回復」、そして「平和条約締結交渉の継続」と「平和条約締結後の歯舞群島・色丹島の日本への返還」である。(5)「ソ連は歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」と明記された。(4) 
 この日ソ共同宣言で重要なのは、ダレスの恫喝により、日本側は四島一括返還を主張せざるをえなくなり、日ソ平和条約締結には至らなかったという点である。

 アメリカは帝国主義による世界支配を目指しており、配下の周縁諸国が離反しないように分断統治政策を行ってきた。そのため日本が近隣諸国と友好関係を築くのを阻害するために領土問題を固定化させようという戦略を行使し、対露では北方領土、対韓国では竹島、対中では尖閣諸島という領土問題を創り出した。日本が自主外交で周辺諸国と関係性を強化するのを妨害し、対米隷属に成らざるを得ないように謀略を働いてきたのである。(3)

 1969年3月2日中ソはアムール川の中洲にある珍宝島を巡って軍事衝突したが、1991年と1994年に中露東部国境協定が合意された。2004年10月14日中露国境協定によって残る係争地の国境も合意し、2008年7月21日に全て画定した。(6)
 領土問題で譲歩したことに対する両国内の反発を考慮して、祝賀会は秘密裏に行われたという。

 尖閣諸島における紛糾も米国の指示を受けた前原誠司国土交通大臣(当時)や野田佳彦総理(当時)や石原慎太郎都知事(当時)によって意図的に引き起こされている。

 仮に北方領土が返還されたとしても、元北方領土島民に帰島の意志はなく、帰島の意思確認のアンケートすら取っていない。北方領土が返還された場合、既に在住しているロシア人に日本国籍を与える必要があり、一定数のロシア人は北海道への移住を希望すると言われている。また、行政活動及び生活インフラ整備のために、日本から北方四島へかなりの人員が出向せざるを得ない。退潮激しい日本国に新規国土整備を行うだけの余力があるとは思えない。
 それどころか、JR北海道は存続の危機に瀕しており、北海道自体の交通網や生活基盤が維持できるのかどうかが危なくなっている。

 かの石橋湛山は戦前から日本の領土拡大政策を軍事的負担及び国際政治的反発及び経済的側面から非難しており、小日本主義を掲げて経済的合理主義に立脚した平和的な加工貿易立国経済発展論を唱えた。(8)
陸軍歩兵連隊入営時の主張から、石橋の合理的意見は一定程度陸軍内でも理解されており、陸軍少尉にまで至った経歴から、日本軍部に対する帝国主義批判に対して報復を受けることはなかった。(7)
 日本は敗戦後に領有国土を大幅に減らしたが、皮肉な事に、石橋の主張通り加工貿易国家として経済的繁栄を遂げたのである。

 私は釧路に旅行した事があるが、国道沿いにおどろおどろしい「島は奪われた!」という立て看板が幾つも置いてある。現地の人は、ものすごく間隔を置いて設置しているつもりなのかもしれないが、長距離を運転していると、これでもか!これでもか!というほどに出てくる。さすがにまずいと思ったのか、近年は顔を犬に換えた立て看板も出ているようだ。だが、そんなものは観光業を考えたら百害あって一利なしである。
 加えて言えば、日露間での通商を考えても負の側面しかない。「島は奪われた」のは歴史的事実だが、その背後にはアメリカの帝国主義支配の実施と継続という支配の構図があり、アメリカ帝国主義支配からの脱却及び、経済的発展性を考えたら、北方四島の領有権は放棄して、一刻も早く日露平和条約を締結し、天然ガスのパイプラインをサハリンから札幌まで引くべきである。


(1)北方領土,アメリカの立場 ソ連への戦利品 : 知識連鎖  (旧・千日ブログ)
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-2032.html

(2)北海道新聞
ソ連の北方四島占領、米が援助 極秘に艦船貸与し訓練も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171230-00010001-doshin-hok
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/154416?rct=n_major

(3)犬 | 2017年12月30日 14:11
http://my.shadowcity.jp/2017/12/post-12446.html

(4)プーチン大統領が"ダレスの恫喝"に言及 北方領土問題で米国が「日本を脅迫した」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/18/putin-dulles_n_13703530.html

(5)「2島か、沖縄か」日ソ共同宣言直前、領土返還で圧力かけた“ダレスの恫喝”
https://thepage.jp/detail/20161209-00000007-wordleaf

(6)中ソ国境紛争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E3%82%BD%E5%9B%BD%E5%A2%83%E7%B4%9B%E4%BA%89

(7)石橋湛山
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%A9%8B%E6%B9%9B%E5%B1%B1#%E5%AD%A6%E7%94%9F%E6%99%82%E4%BB%A3

(8)石橋湛山の思想――小日本主義――
http://www.ritsumei.ac.jp/~yamai/7KISEI/furukawa.pdf





ゴルビーのパイプライン大作戦
徳間ジャパンコミュニケーションズ

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