はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

六花の勇者

2011-12-10 11:13:03 | 小説
六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)
クリエーター情報なし
集英社


「六花の勇者」山形石雄

 闇の底から魔神の目覚めるとき、運命の神はそれに対抗せんと、6人の勇者を選び出す。通称「六花の勇者」に選ばれた者は、体に花弁の形の痣を授かる。
 自称・地上最強の男・アドレットもまた勇者に選ばれ、魔神討伐へと向かっていた。道中で知り合った大国ピエナの王女・ナッシェタニアと共に。
 そして到達した約束の地。なぜか発動した霧幻結界に囚われた勇者の数は……7人!?
 彼らは気付いた。1人裏切り者がいる。そいつが勇者たちを閉じ込め、疑心暗鬼の罠に陥れ、隙あらば殺し、あわよくば同士討ちにまでもちこもうとしている。
 真っ先にその疑いがかかったのは、誰あろうアドレットで……。

 おお、面白い。
 シチュエーションだけでご飯何杯でもいけるのに、中身の方もなかなか凝った造りになっていて十二分に楽しめた。絵柄が細くてほわほわしてて気に入らないのがあれだけど、まあそれは作品の出来に関係ないしね。
 主役のアドレットが様々な薬品や暗器や智謀知略を尽くして戦うタイプだというのが良い。他の勇者は本物の強者揃いなので、圧倒的不利な状況からそれらに対抗しようという展開が燃えた。基本熱血タイプで、つらい時こそ笑え、とか俺はお前を信じる、とか。少年漫画の主人公みたいなセリフだらけなのも○。
 ヒロイン候補のナッシェタニアの天真爛漫さ。火薬使いの聖女フレミーの冷淡さと孤独。猫のような話術とトリッキーな動きで相手を煙に巻くハンス。最強と呼ばれる沼の幼女・チャモの傲岸不遜。ナッシェタニアに忠義以上のものを尽くす騎士ゴルドフ。それらすべてを統括する知的な山の聖者・モーラ。誰も彼もが疑わしい行動を示すので、最後まで犯人がわからなかった。まさかあれが伏線だったとは……。
 なんとなくだけど、富樫さんに漫画化してほしいような気がした。いや、絶対ないだろうけど、そういう雰囲気の作品なんで。