レイモンド

「母ちゃんレイモンドは何て！？」
「ダメだわ……お母さん、フランス・イタリア・イギリス語はペラペラだけど、彼のはアメリカ語ね……。アメリカ語は他のどの国の文法とも異なる特殊な言
語……！！　ちょっとだけわかったけど」
「……Under stand?」
「下が立つとか言ってるわ。若いのネ」

「レイモンド」田丸浩史
　
　未来の世界の海兵型ロボットが、将来の要人である瑞希を敵対勢力の手から護るためにやって来た。出てきたところは机の引き出し。
　やたら頭悪そうな設定は、「超兄貴」、「アルプス伝説」、「ラブやん」などでおなじみ田丸浩史。
　クラスメイトを奴隷にしてふんぞり返っているメガネっ娘小学生の倉橋瑞希。外人教師とメイクラブしつつも英語がまったくわからない猟奇アニメマニアの母。何でも出てくる股間の４次元ファスナーから毎回ろくでもないものを出す海兵型ロボのレイモンド。まともな人物がひとりも出てこない思い切りのよさと、独特の言語感覚は相変わらず。毎話毎話典型的なドラえもん構成だが、類を見ない突き抜けぶりで、最初から最後まで飽きずに読めた。
　田丸浩史ファンにはおなじみおもちゃのサイトウの話や、あさりよしとお、安永航一郎、ながいけん等漫画家になる過程で影響を受けた作家先生に対する思い入れを語る幕間のインタビューも興味深く、楽しめる一冊だった。