ショートソング 2 (2) (ジャンプコミックスデラックス)枡野 浩一,小手川 ゆあ集英社このアイテムの詳細を見る |
「ショートソング②」原作:枡野浩一 画:小手川ゆあ
ハーフで美形で腰が低くて素直だけど童貞で英語が話せなくてファッションセンスのない大学生・国友克夫が、彼の短歌を作る才能に嫉妬した伊賀寛介に弄ばれる異色の短歌・ラブコメディ。
国友の意中の人・舞子といちゃついたり、美女たちを次々ととっかえたり、挙句の果てには国友の妹とデートしたり……国友が苦しむことに性的興奮を覚えるド変態・伊賀の行動はエスカレートを続ける。
国友は辛いながらも涙をこらえ、今自分にできる精一杯のことをやろうと短歌を詠みまくる。賞金200万と歌集出版の特典付きの大賞に応募し、それまで培ったことを形にしようとするが……。
一方伊賀は、生来の人付き合いのルーズさが裏目に出たのか、別れた女に身に覚えのないストーカー扱いを受け、舞子にも振られ、会社での立場も危うくなる。土壇場で己の愚かさに気づき、らしくない地道な努力で這い上がろうとするが……。
既存の土地を開拓しきったことで、微に入り細を穿つしかなくなった漫画業界。中でも短歌というジャンルは目新しく、これからに期待していたのだが、このたび無念の打ち切りと相成った。
当然予想はされていた運命の逆転も、訪れるのが早すぎてしっくりこない。メイン2人にそれなりのラストは与えたつもりだろうが、広げた風呂敷は回収しきれず、不自然さが際立った。
しかしこのジャンルの面白さは、登場人物のやり取りを見ていればわかる。ただの日常会話でなく、五七五七七のフレームに切り取られた想いをぶつけ合うことで、より凝縮された自身の有り様を表現しようとする姿がまぶしく鮮烈だ。
キャラクターとしても、国友をいたぶる伊賀が良かっただけに残念。衆目をはばからずバレンタインのチョコを渡す伊賀とそれを受け取った時の国友の表情は秀逸だったし、これが見れなくなるのは悲しい。作者の次回作に期待したい。
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