バクマン。 14 (ジャンプコミックス) | |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
「BAKUMAN(14)。」原作・大場つぐみ 漫画:小畑健
蒼樹さんと平丸さんが付き合うというまさかの展開から少したったサイコーとシュージンのもとに、ある知らせが届いた。それは、昔から2人のファンでいてくれていた七峰くんが、驚異の新人としてデビューを飾ったこと。純粋に喜ぶ2人。作品自体も亜城木夢叶を思わせるキワモノで、極めて面白い。
危機感を抱く2人に会いたいという七峰くんのたっての希望で、直接本人と会ってみると、爽やかで明るい気持ちの良い青年で、とてもじゃないが、あんなキワモノを書く人間には見えない(他人のことはいえない)。疑念を抱く2人の前で、七峰くんは本性を現した。彼は、ネット作家だったのだ。正確には、ネット上で50人のブレインを応募し、ブレインの意見を集約して原稿にする企画者にすぎなかった。
漫画とは、漫画家が編集者と共に知恵を絞り、全身全霊をこめて描く想像の結晶である、という認識の2人にとって、七峰くんのやり方はとても承認できるものではない。だが、編集部にチクるのも卑怯だ。2人は正々堂々漫画の面白さで勝負することを、七峰くんに宣言する。
亜城木夢叶対50人。
先の見えない血戦が、人知れず始まった……。
毎回毎回想像外の角度から攻めてくる大場つぐみだが、今回はとりわけ面白かった。ゆとり世代全開のいけ好かない七峰くんを、いかにして打ち負かすのか、その過程の推移が良かった。まあ、結果的には2人はなんにもしてないような気もするし、あっさりしすぎのきらいはあるが、終わり方には納得がいった。
うん、人間って、そういうもんだと思う。
漫画の作り方に正解なんてない。面白ければそれが正義だし、作り方は表には出てこない。
でも、それでも、そこには人間性が現れると思うのだ。いみじくも新妻先生が指摘したように、作品には作者の顔が見えてほしい。