天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) | |
クリエーター情報なし | |
早川書房 |
「天冥の標 メニー・メニー・シープ」小川一水
西暦2803年、植民から300年を数えた惑星・メニー・メニー・シープの臨時総督のユレイン三世は、惑星唯一の発電装置である植民船・シェパード号の支配権と、ロボット群の指揮系統を束ねていることを強みにやりたい放題の圧政を敷いていた。
そんな中、セナーセー市の医師セアキ・カドムは、電気を操る《海の一統》の若大将・アクリラと共に、大流行を始めた未知の病原菌との戦いを始める……。
というストーリーを聞いて、パンデミックもの好きな僕は大変興味をそそられたわけですが、病気そのものはかなり早期に解決してしまい、その後は惑星の秘密や開拓の裏側、といった、SFファン向けの話でした。いや、嫌いじゃないんですけどね……求めてた話と大分違うから……。
キャラクター的にはシロツグみたいな印象の(あくまで印象、というか、絶対絵にするならあの人)カドムと、カドム大好きなアクリラのやり合いはかなり面白い。アクリラが女の子だったらなーと誰もが思うはず。そういう話じゃないですか? うんまあ……。
臨時総督に箱庭のように区切られ閉ざされた植民星、実はその外側には広大な世界が広がっていて……というキーワードに興味のある人は買い。実際、出来はいいし安定いて読める良作だと思う。ただ、パンデモな話を期待している人にはお勧めしないというだけで。