ソードアート・オンライン〈4〉フェアリィ・ダンス (電撃文庫)川原 礫アスキーメディアワークスこのアイテムの詳細を見る |
「ソードアート・オンライン(4)フェアリィ・ダンス」川原礫
祖父の部下にして婚約者の須郷の策略により、空を飛び交う妖精たちをプレイヤーキャラクターに据えたVRMMO『アルヴヘイム・オンライン』の世界に囚われの身となったアスナを救うべく、キリトは再びナーヴギアを被る。多数の死者を出したことで封印された「アインクラッド」の悪夢を振り切って、再び仮想世界に降り立った。
目的はただひとつ、現実世界でいまだ目覚めぬアスナを救う事。そのためだったらなんでもする。アインクラッドから引き継いだパラメータと、卓抜したプレイヤースキル。そして類希なるど根性でもって、目指すは『世界樹』。広大無辺に連なる枝のどこかに吊されている、囚われの姫の箱……。
うーん、熱い。基本キリト無双で、最後もちょっとごり押しすぎる感は否めないものの、面白いからいいじゃないかと割り切らせる力がある。
キリトが兄だとは知らずに協力している直葉=リーファとの道中や、互いの正体を知った時の動揺など、直葉がらみのイベントは、どれも切なくていい味出してる。アスナのことしか見ていないキリトより、どちらかというと直葉の物語だったような気すらするくらい、そのキャラクター性は立っていた。
大団円後の各自の処理も良い。アインクラッド事件に巻き込まれた学生たちだけを集めた学校なんてめちゃめちゃ楽しそうだし(そりゃあ軋轢もあるだろうけど)、キリトの女たらしぶりや、絶妙な直葉のポジション取り(そうするしかないよね)まで、実に痒いところに手の届く仕上がりとなっている。