カンニング少女 (文春文庫)黒田 研二文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
「カンニング少女」黒田研二
都立K高校3年・天童玲美は、不審な交通事故で死んだ姉の死の真相を探るため、姉の在籍していた馳田学院大学へ進学することに決めた。しかし超難関で有名な馳田学院の前には、ぼんやりふつーの女子高生をやっていた玲美にはあまりに高いハードルがある。受験シーズンも押し迫ったこの時期に、いまさら一念発起したところで結果は火を見るよりも明らか。追い詰められた玲美は、クラスの優等生・愛香、陸上インターハイ選手・杜夫、幼馴染で機械オタクの隼人の3人の協力を得て、大カンニング作戦を計画するのだが……。
昔そんな映画あったなーと懐かしい思いで読んでみたのだが、思いのほか異なる読み口。まああっちには姉の仇なんていう重い背景はなかったし、あくまでコメディ映画だったからな。
で、こっちについて。
一言でいうなら書き込み不足。犯罪なんて思いもよらない清純女子高生がカンニングに至る葛藤とか、万能女子・愛香のかっこよさとか、杜夫と玲美の恋愛パートとか、敵役の鈴村女史の憎らしさとか、玲美の姉が憧れていた咲田教授の人となりとか、青春の季節の過ぎ行く様とか、とかとか。
もっと表現できるだろ? と、歯がゆい思いで一杯になってしまった。登場人物に感情移入できぬまま物語は終わってしまった。現代風なカンニング方法の数々には感心させられた部分もあったけど……。