はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

狼と香辛料(6)

2009-06-12 20:11:16 | 小説
狼と香辛料〈6〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂
メディアワークス

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「狼と香辛料(6)」支倉凍砂

 共同のあがりを奪って逃走した女商人・エーブを追うホロとロレンスは、レノスの港からの商船に同乗させてもらい、一路ケルーベを目指す……が、行程は一筋縄ではいかない。川筋の関所で面倒事に巻き込まれていた少年・コルを助けたロレンスは、何の因果か師匠になるハメに。
 いままで弟子などもったことなどないと頭を抱えるロレンス。しかし自分が弟子だった昔を思い返しながら教え始めると、コルのもともとの頭の良さや素直さもあいまって、師弟関係は存外良好。秘密の思惑があるホロはにんまり。
 そんな折、エーブの策略により先行した船が沈められ、水路は完全に塞がれてしまう。自棄のやんぱちで大宴会を催す船乗りや商人たちの語る噂話や、コルの故郷の話を総合した先に見えた故郷ヨイツの異変にホロの心は乱れる。支えるのはもちろんロレンス。力強く手を繋ぎ合う。
 旅の終わりが見え始め、ぎくしゃくしていた2人の関係は、旅の仲間の追加や当面の目的が定まったことによりひとまず落ち着く。次なる目的地はケルーベ、そしてコルの故郷。ホロの仲間のものと思われる「狼の手」を求めて、3人の旅が始まった……。

 優秀な弟子候補・コルを巡るロレンスと船乗り・ラグーサの駆け引きが面白かった。頭が良く素直な人材ってのは、いつの時代、どの場所でも貴重なものなのだとあらためて実感させられた。社内における教育や指導をしなければならない年齢になった僕としても、これは身につまされる。
 いやほんと、今風の若者を教えるのは大変なんですよ……。