はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

レモネードBOOKS(3)

2007-09-27 21:14:26 | マンガ
 自分の趣味に理解のある彼女って、けっこう得がたいものだ。趣味がマニアックであればあるほど、ハマリ方が重度であればあるほど、その存在は稀有なものになっていく。
 だからこそ、出会った時の感動は大きい。自分が好きなように振舞っても問題なくついてきてくれる彼女と愛し合える満足感。あれは何物にも変えがたい。
 でもちょっと待って。おんぶにだっこしてるだけじゃ、本当の幸せはやってこない。譲歩と忍耐も忘れずに。

「レモネードBOOKS(3)」山名沢湖

 本バカ岩田くんと、岩田くんに振り回される森沢さんの物語最終巻。
 本屋でのデート(?)中にほっぽっとかれたりと相変わらずな扱いの森沢さん。いちいち腹を立てたりということは少なくなったけど、最近悩みがひとつできた。岩田くんの部屋で見つけた高校時代の集合写真から始まった昔話。当時の岩田くんが付き合っていたという彼女の存在を知って以来、心のざわつきがおさまらない。もうなんとも思っていないのだとしても、今さらいったってどうにもならないことなのだとしても、森沢さんはなんだか許せないと感じてしまう。彼が暮らしていたところ、彼が過ごしていた時間のことを思って、仲間はずれにされたような疎外感を感じてしまう。もやもやを解消するために、森沢さんは旅に出た。ひとりきり。ポストには探さないでの書置きひとつ。
 朝霞ちゃんは元彼に告白され、司書嬢は彼に求婚され、センセイは中学へ入学して筆を折り、と森沢さんの周囲もにわかに急展開を迎えている。といってもこの漫画のことだから、「えっ」とか「あっ」という驚きは少ない。それぞれのキャラがそれぞれの立場なりに、ゆっくりと丁寧に適切な距離をとるよう努力していく。岩田くんと森沢さんに関してもそれは同様で……。
 最後に森沢さんの下す決断と、その有り様がほのぼのと味わい深い。全3巻というまとめ方は冗長でなく潔いが、できることならばこの先も読んでいたいような、そんな寂しい気持ちにさせられた。恋愛漫画特有のべたつきのない、爽やかな漫画であった。次回作に期待したい。