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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

敗北

2006-05-07 11:46:15 | 格闘技
五月五日。子供の日。PRIDEのオープンウェイトグランプリが行われた。ノゲイラの芸術的サブミッションも、ジョシュ・バーネットの攻防バランスのとれた戦いも、藤田の大逆転すらも、その試合の前には霞んでしまった。
マーク・ハント対高阪剛
壮絶な、という他ない試合だった。強力なハントのパンチを何発もくらいながら、それでも前進をやめない高阪の姿に、観客は大きな歓声を送った。それは世界のTKとまで呼ばれた男の引退試合として、不足のないものだった。凄絶なる打撃を浴びながら、高阪はたしかに一度、勝利に手をかけかけた。起死回生のバックマウント。会場の気がぐわりとうなった。だが、それはすぐにため息に変わった。ハードな試合の中、全盛期を過ぎつつある高阪の手に、ハントの抵抗を押さえ込む力は残されていなかった。関節をとることも、致命的打撃を与えることもできずに高阪は振りほどかれ、そして地獄が待っていた。かつて立ち技世界一を極めた男の打撃は、甘い感傷やドラマチックなストーリーの付け入る隙を与えてくれず、すべてを粉砕した。
夢も。
希望も。
それがつまりは、現実の戦いというものなのだ。高阪剛は敗北し、以後リングの上に立つことはない。