J's日誌

中小企業診断士、経営管理修士(MBA)、事業再生士補、AFP。某NPO法人フットサル連盟副理事長。

「フットサル・ラボ!」パネルディスカッション5

2010-03-20 08:00:00 | Weblog


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先週土曜夜に参加してきた、標記ディスカッション。

第5回目は、スペインの強さ、国のレベルについて。


 ※ ※ ※


【質問】
2000年の世界選手権のとき、スペインのような
フットサルをやっていたチームはなかったと思います。
それから2004年、2008年と時間が経つにつれて、
同じような戦術を取れるチームが増えてきたと思う。

そういう中で、情報はインターネットなどを通じて
すぐに広まっていくわけですが、スペインが世界の
トップレベルを維持するために、今後どのような
優位性を持って臨もうとしているのか教えてほしい。


【ホセ・プルピス フットサルタイ代表監督】

まず、私の考えをご説明したいと思う。
スペインとかブラジルには、まだまだ有利な部分は
残されていると思うのだが、彼らにとってここから
先の伸びしろという部分は非常に小さい。

他の代表チームと比べても、残された伸び幅、
向上の余地というのはだいぶ差がある(小さい)。



ただ、ある国の代表チームが、フットサルという
競技で成長していくためには、非常に重要な要素
がある。

短期的に他の国がブラジルやスペインに追いつくと
いうのは難しいとは思うが、その重要な要素という
のは、リーグ。リーグのレベルなのだ。

スペインリーグ、ブラジルリーグというのは、
世界最高峰のリーグで、そのリーグの有無こそが
両国と他国の代表チームの差につながっているのだ。

スペインリーグでは、毎試合毎試合が決勝戦だ。
スペインリーグでも非常に点差の開く試合はあるが、
ほぼ、全ての試合が、明日行われる(全日本選手権)
決勝戦、もしくはそれ以上のレベルだ。

非常にレベルの高い、僅差で力の差のないチーム同士が
対戦する試合が、毎試合毎試合、ほぼ毎週末行われる。



ひとつ例を挙げると、最近のアジア選手権の最後の試合。
あるアジアの国の代表監督が、試合をした後に私のところに
近寄ってきて言った。

「こんな緊張した、プレッシャーのかかる
 試合は今まで経験したことがないよ。」と。

私は笑って、
「でもスペインリーグは、毎週末こうだよ。」と答えたのだ。

選手達も、毎週末ハイプレッシャーの中で試合を経験し、
それに慣れている。それこそが、スペイン、ブラジル両国と
他の国の間に横たわる、非常に大きな違いなのだ。



もちろん他の国にも、非常にいいチーム、いい選手というのは
いるし、いい指導者もいる。ただ、選手達は毎週末そういった
環境の中でプレーすることには慣れていない。

例えばポルトガルのリーグはどういう状態なのかというと、
年間4試合くらいしか、非常に厳しい試合というのは存在しない。
スペインリーグにいれば、30試合くらいの同じ厳しさを経験できる。

それが、恐らく一番大きな、違いなのだ。

スペインリーグでは、1位になるほどのチームでも、
もしかしたら明日最下位のチームに負けるかもしれない。

それが、スペインリーグなのです。



【ミゲル・ロドリゴ フットサル日本代表監督】
もうひとつ、非常に分かりやすい例があるのですけど、
今、プルピス監督が言ったような部分でしかスペインと
ブラジルは向上の余地がない。

それは何かというと、選手の質です。
選手の質の向上があるかどうか。

例えば日本代表であれば、まだまだ戦術的にも
伸び幅は非常にあると言える。

技術、戦略、メンタリティ、そういったものの
伸び幅がまだまだいっぱい残されている。



例えば一つの例として、セルジオ・ガルジェッリ
(前・府中アスレティック監督)の話をしよう。

彼は府中の後、ベトナム代表監督に就任したが、
その頃ベトナムはマレーシアに3-8で負けていた。

セルジオはその後ベトナムに行って、1ヶ月半の
トレーニングで、大差で負けた相手に6-3で
勝ち、初めてのアジア選手権出場を決めた。

それは何をやったかというと、戦術のちょっとした
調整、浸透と、セットプレー。その2つに着手した
だけで、これだけガラッと結果を変えることができた。



基本的にはほとんど白紙状態のチームに、
そういったことを伝えて形を作るのであれば、
それによって得られる成果というのは非常に大きい。

そこにこそ、指導者の質、監督の手腕というものが表れる。
なので、日本でも指導者、監督の養成ということが急務だ。

それによって、国内のそれぞれの指導者が見ているチームの
レベルがガーンと、一気に上がる可能性があるからだ。

1回天井に到達すれば、そこから先、チームが違いを
見せていくのは、個々の選手の質ということになる。



もう1つ別の例を挙げよう。
11年前のイタリア、ヘスス・ベラスコという監督がいた。

今、スペインでセゴビアの監督をやっているが、
彼はイタリアで何年も監督をやってきた人だ。

スペインではかつて2部リーグの監督をやっていた。
パドマというチームの監督をしていたとき、リーグの
ファーストラウンドで1勝しか挙げていないチームだった。
それが最終的にはプレーオフに進出し、準決勝まで勝ち進んだ。

それは戦術、攻撃・守備両方の戦術を伝え、戦術の
コンセプトを植えつけて、セットプレー、プレスの
かけ方。それをグループ戦術として、皆が理解できる
ようにトレーニングをした。最大限の伸び幅まで持って
くるトレーニングを通じて、準決勝まで進むことが出来た。



フットサルというのは、戦術次第で非常に力を伸ばす
ことの出来るスポーツだ。そういうゲームであるからこそ、
白紙状態の選手達、土壌に情報を植えつけていけば伸び幅は
計り知れない。

なので、皆さんのような、フットサルの指導に関わる
皆さんが、いろんなことをきちんと吸収して伝えられる
ようになることが重要なのだ。

今もう日本サッカー協会でも、フットサルの指導者ライセンス
制度が始まっているけれども、今後もっともっと本格的なものも
出来ていくはずだ。指導者向けの著作なども作っていく予定だ。

他にも、学校の体育でフットサルをプレーできるような環境を
作っていくことも重要なのだが、何よりも指導者の皆さんが
いろいろ情報を得て、レベルアップしてもらうことが重要だ。

まさに先ほどの質問にあったように、何年か前と比べると、
どんどんどんどんと同様のレベルにあるチームが増えている。
これはフットサルにとっては嬉しい状況といえる。



リーグのあり方についても、プレーオフのように
順位のかかった熱い戦いが続くということが重要だ。

ここで質問したいが、皆さん来季のFリーグで、
名古屋が優勝すると思う人は手を挙げてほしい。

(ほとんどの人が挙手)

...これは何というか、ワクワク感があるだろうか。

それではプレーオフシステムを考えてみよう。
大阪とか町田が、もしかしたらリーグで勝つかも
知れない、と思える人は手を挙げてほしい。

(半分くらいの人が挙手)

もしかしたら、あるかも知れない。



だからこういう状況、プルピスさんが先ほど言われた
スペインリーグの生きるか死ぬかのような激しい試合を
たくさんやることは、全体のレベルを上げることにつながる。

今、日本サッカー協会の方でも、検討しているところだ。
育成年代のルールについても、同様に検討しているところだ。

自分としては、こういったことについての修正というか提言、
働きかけをしていくことは、日本代表を率いて結果を残して
いくこと「以上に」(注:強調)重要なことだと思っている。

何故かというと、今ここにいるスタッフの関心事は、
トップチーム、代表チームを強くすること以上に、
育成が大事だと共通して思っているから。

どういう状況が大事かというと、優れた知識を持った指導者
たちが、切磋琢磨して厳しいレベルの試合を作っていくこと。
それが、自ずとレベルを上げていくし、良い環境につながる。

それによって、日本サッカー協会が自分に何億円の報酬を
支払ってくれるのか分からないが、期待しています。(笑)

 ※ ※ ※

(この稿、終わり)





なかのひと


同時通訳のお二人に感謝します(-_-;
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