広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

ワンマン変更/EV-E801量産車

2021-03-17 23:59:30 | 秋田のいろいろ
2021年3月13日のJRダイヤ改正。JR東日本秋田支社、というか秋田市では泉外旭川駅開業に沸いた。五能線と男鹿線の新型車両導入は、それ以前から少しは走っていたためか、引退したキハ40系気動車のほうが重要視されたのか、一般人も愛好家もさほど気に留めていない感じ。
今回は、追加投入された男鹿線のEV-E801系蓄電池式電車のことを取り上げるのだけど、まずはワンマン運転の方式変更について。
【18日タイトル訂正・初回アップ時「GV-E801」と誤記してしまっていたので、「EV-E801」に訂正しました。】

男鹿線では4両編成でも車掌が乗らない「中編成ワンマン運転」を開始(以前の記事)。車内に運賃箱を設置せず、無人駅でも全ドアで乗降でき、きっぷや運賃は駅に設置された、自称「強固な運賃箱」という名の従来のきっぷ回収箱と同じ箱に入れることになった。両替はできない。
奥羽本線では、従来どおり1~2両編成の一部の列車だけがワンマン運転で、車内に運賃箱がある。しかし、それだと男鹿線と奥羽本線両方の列車が通る無人駅(泉外旭川、上飯島、早朝夜間等の追分)では、路線によって乗降方法が違ってしまう。そこで、奥羽本線でも秋田~追分間に限り、男鹿線側に合わせて全ドア開放・車内収受なしに変更された。
こうしたことは、駅にリーフレットが置かれてはいるが、それを手渡しするとか放送でも告知とか、積極的な周知はしていないと思う。説明不足。

改正後、土崎と、東能代方面へワンマン列車に乗る機会があった。
まず、今改正の奥羽本線・大館より先に行く列車では、車掌が乗る列車とワンマン列車の入れ替えがあった。
過去の記事のように、長らく秋田発11時台の元快速が弘前までワンマン(運転士は大館で交代)、13時台は2018年まで3両編成だったこともあり、2両化後も車掌が乗っていた。
改正後は、11時台が少なくとも大館までは車掌乗務、13時台が大館までワンマン(大館→弘前は車掌が乗るような言い回しの自動放送)になっていた。

こうした八郎潟より先へ行くワンマン列車では、自動放送での降り方の説明が、当然変更された。
秋田駅出発前の放送では「八郎潟まではホーム側のすべてのドアが開きます」と「八郎潟より先の無人駅では、前の車両のいちばん前のドア…(以下従来と同じ)」と並べて説明。
秋田出発後は「八郎潟まで~」のみが流れ、さらに「無人駅では、乗車券、運賃、整理券は駅の運賃箱にお入れください」と説明。
八郎潟出発後に、おそらくこれまでは流れなかった「JR東日本をご利用いただきありがとうございます。この電車は弘前行きワンマンカーです。無人駅では、前の…」と始発直後と同じフレーズが放送されるようになっていた。最初にドア制限・車内運賃収受する駅は、八郎潟の次の鯉川駅となる。

方式が変更されたのは、追分駅までであるが、追分の先、大久保、羽後飯塚、井川さくら、八郎潟の全駅で駅に係員がいちおういるためワンマンは関係ないので、分かりやすいように「八郎潟まで」と言っているのだろう。係員がいなくなる時間帯は、言い回しが変わっているかもしれない(701系の自動放送はこういう点は融通が利くようだ)。
【4月19日追記】八郎潟駅がお昼休み(無人駅扱いになる)の時間に運行される八郎潟行きワンマンでは「『井川さくら駅までは』ホーム側のすべてのドアが開きます」に差し替わっていた。正しい内容ではあるが、簡易委託駅員さんたちを働かせておいて、業務委託である八郎潟だけ休むってのは、なんだかなという気がしなくもない。休む時は休むのが本来の労働ではありますが…


まだ貼っていない編成のほうが多いようだが、701系のドアに新たなシールが貼られていた。
向こう側のドア内側は避難時の線路への降り方説明。昨年末頃から貼付
「ドアが開かないときは 先頭車両の後ろのドアからご乗車ください。」
秋田~追分間以外の無人駅のことを指している。これまではどの無人駅でもそうだったし、引き続きその扱いの無人駅のほうが多いのに、例外みたいな書き方なのがモヤモヤする。
701系ではワンマン時に「入口」を表示するLEDがあるのだが、これまでもそれなのにほかのドアを一生懸命開けようとする人をたまに見かけていた。こう書いておけばマシかもしれないが、分からない人はそれでも分からない。
あと「ドアが開かないとき」とすると、どのドアも開かない状態(側灯滅)、例えば、発車間際でも、乗ろうとして電車に近づいてしまう人もいかねず、危険かもしれない。
そして、秋田~追分間と書いていないことは、勘ぐれば将来的には無人駅全ドア開放を、他の区間にも拡大するのを見越しているのかも。
【7月15日追記】このシールの車内側の面は「ボタンを押してドアが開かないときは 運転士のすぐ後ろのドアからお降りください。※各駅、到着前に放送でご案内いたします。」と書かれている。


車内ドア上の横長枠には、ワンマンカー乗り方&降り方が掲出されていた。今改正では、差し替えはともかくラベルを貼るくらいはしないと、ウソを説明することになるが、従来のままだった。
【8月31日追記・その後いつの間にか新しいものに差し替えられた。以前とほぼ同じだが、小さく「※秋田~追分間ではすべてのドアが開きます」の文言が入っていた。】
上飯島駅では降りた数人のお客が、わざわざ駅出口と逆であるいちばん前まで来て降りていた。運転士さんも無視するわけにもいかず、立ち上がって出てきて応対していた(きっぷは受け取ったのか?)。定期券の人もいたが、それは乗り慣れた定期客にさえ、方式変更が周知されていないことを意味する。


ここから男鹿線EV-E801系のこと。
2017年春に2両1組1本「G1」編成が投入され、孤軍奮闘していた。この記事など。
今回の全面置き換えのために、2両×5本、G2~G6編成が追加され、改正時から運行開始。運賃箱がないこともあって、改正前から順次投入とはいかなかったのだろう。

鉄道車両では、最初に量産先行車として1本だけ造って使ってみて、生じた改善点を後の量産車に反映させることがあり、先行車と量産車ではデザインや仕様に相違点が生じることがある。初代こまちE3系では、先頭形状がかなり違った
また、量産車が納車されると報道公開され、少なくとも鉄道雑誌には諸元や変更点が載る。今回はそれがなかったようで、変更がなかったのだろうか。
2月中旬、秋田駅東側の道路際の留置線にG6編成がいた。今はキハ40系が置かれている
ただ、変更点がないわけでもない。
2本つないで運行することになるので、乗客が行き来する時のいわゆる蛇腹、赤いEV-E801形に「幌」と青いEV-E800形に「幌受け」が付いた。これまではそれらがないつるんとした表情だったのが、特に分厚い幌の赤いほうはいかめしくなった。
中編成ワンマン対応機器も、新規に搭載されている。試運転の記事の通り、車外には側面に乗降を確認するカメラと、車体下の「ホーム検知装置」。
黒いコードがつながった白い小さい四角に黒い丸が、たぶん超音波を出すホーム検知装置

そのほかには? ネット上では、鋭い観察で相違を見つけた方々がいらしたので、参考にさせてもらいつつ。
営業開始後G2編成
特徴の1つである大型のLED行き先表示機。その書体が、G1編成と変わっているとの指摘があった。側面は忘れたので、正面だけ。
G2編成

(再掲)G1編成

比較がないのですがG3編成
たしかに、G1編成より文字が太くなった。本格的な角ゴシック体の趣。
枠で囲った「ワンマン」は、G1編成では丸ゴシック風で細い枠線だったのが、角ゴシック、太枠に。

ほかに外観で1つ発見。
 
G2編成とG1編成
幌の有無で分かりにくいですが、ワイパーの根元が違う。
G1編成ではむき出しだったのが、G2編成では三角形のカバーが付いた。可動部分が雪で固まるのを防ぐためかと思うが、あればあったで雪が詰まらないかな。


車内。まず運転席。
G1編成(2018年6月)
上の写真はEV-E801-1側。手前に台のような「架線認識異常扱いスイッチ箱」があって、運転席の椅子が見えない。逆のEV-E800側にはないので、椅子が見える。
G2編成。EV-E800-2側。箱がない
フロントガラスの上の横長の黒いものは、液晶ディスプレイ2台。車内外のカメラの映像がここに映る。一方、G1編成で右のほうに写っていた円形の車内確認ミラーはない。

これもネットの情報で、速度計の目盛りが変わったとのこと。たしかにG1編成は160km/hまでなのが、G2編成では120km/hまで。
そのほか細かい機器の違いはあるかもしれないが、素人では見つけられなかった。

EV-E800-2運転席を客席側から
↑↓通路中央の扉の有無は、先頭か後部(または中間)かの違い。
(再掲)EV-E801-1。窓の中にスイッチ箱が見えている
電話ボックスのような運転台も変わらず。コンセントは掃除機用だと思うが、その横(運転席奥側)の縦に細長い切れ目の箇所。G1編成ではここが切り欠かれていて、運賃箱が収納されていた。Ω形のハンドルが付いていて、引っ張れば運賃箱が横にスライドする方式。
塞いだものの、再設置できなくもないのか。

【19日もう1つ発見】車内外の写真にわずかに写っている、運転席フロントガラスの日除けも変更されている。G1編成はかつては主流だった跳ね上げ式の板。黒っぽい樹脂板だったと思う。G2以降は、701系などJR東日本が近年好んで交換している、フリーストップのロールスクリーンになった。跳ね上げでは液晶ディスプレイと重なってしまうこともあるだろう。
さらに前方のガラスにも大きな違いがあった、ワンマン運転時のようすなどと合わせて続きの記事にて
【23日追記】4両運転対応のために、連結器本体の下に、2つの箱状の「電気連結器」が付いた。それに伴って、車体下のスカート(排障器)の中央付近の形状が変更されている。

客席。
G3編成EV-E801-3
中編成ワンマンでは整理券も使わないようで、発行機がない。
運賃表示機の液晶ディスプレイは設置されているが、設置位置がこれまで右寄りから中央へ変更。従来はミラーと干渉するためやむなく寄せていたのかな【19日追記・位置変更だけでなくカメラと一体化した箱に入っていた。下のリンクの続編参照】。
防犯とワンマン時の車内確認を兼ねるであろうカメラはあった。それ以外の相違点を1つだけ見つけた。
ドア横

(再掲)G1編成
車内のドアボタンの土台が変わった。
G1編成はボタンの枠だけが壁から盛り上がっていたが、G2以降ではそこより上のほうも、ボタン枠長辺の倍以上の長さ分、出っ張っている。まるで車掌用のドアスイッチのボックスのようにも見えるけれど、何かが入っているのでしょう。【18日追記・土台の出っ張りの高さも、G1編成より少し高い(前に飛び出て)ような気もする。手すりと重なってしまうため、ある程度高くしたほうが押しやすいとは思う。】
ボタン面は内外とも、新しい「< >」「> <」。G1編成では三角形のマークのボタンで、車外のみ< >に交換。
そして、ドア上の「ワンマンカー乗り方&降り方」があるべき枠には、何も入っていない。男鹿線こそ中編成ワンマンのメインなのに、よくもこの状態で営業を始めたものだ。ほんとに周知不足。
【18日追記】改正直後の男鹿線では、案内要員と思われる社員が、車両後部にずっと立って添乗していた。車内よりも駅にいてくれたほうが、いいのではないでしょうか。

【2021年7月5日追記】G1編成であったものが、G2以降では設置されなくなったものがあった。各車前と後ろの車外側ドア横にあり、無人駅で点灯していた「出口」「入口」表示のLED。中編成ワンマンでは全駅全ドアが開くので不要だから。この記事参照。


土崎から秋田まで、G3編成に乗った。これまではキハ40系用の遅いダイヤで、性能を持て余してちんたら走っていたこともあり、乗り心地が穏やかで、静かだった。
スピードアップ後は、さすがに多少揺れと音が増えて、踏切やポイントを渡る時にふわっとしたりする。でも701系のメチャクチャな走りに比べれば、相当いい。

放送で1点。ドアが閉まってから、駅を発車する直前(秋田駅や土崎駅でも流れたから無人駅かどうか問わず)に「発車します。列車から離れてください」と、車内放送と同じ声で車外スピーカーから流れるようになった。これは狭いホームの安全確保のためいいと思う。701系では、改正後も流れていないが、やってもいい。

改正前のG1編成。幌がなくツルツル
G1編成は、今は後輩と仕様を統一するべく、工事中だろうか。※G1編成に改造工事が行われ、2021年6月末から復帰した。変更点などはこちら

また、G4編成では、4月からの東北デスティネーションキャンペーンに合わせて、男鹿市北浦の雲昌寺のアジサイなどを描いた「BLOOMIG TRAIN OGA」というラッピングが施されている。→この記事にて


開業した泉外旭川駅は、秋田方面、土崎方面両方ともにそこそこの乗車・降車ともあった。記念乗車、お試し乗車もいるかとは思うが、そうでなさそうな人も少なくなく、予想以上。
自動放送は、奥羽本線701系、男鹿線EV-E801系とも、当然ながら「泉外旭川」が追加された。ワンマン方式部分も同様だが、日本語は、両形式とも同じ声(レゾナント・システムズの機器標準)が使われていて、その声で継続。男鹿線の英語は不明。
心配だったのは「泉外旭川」の「泉」のイントネーション【18日訂正】アクセント。
共通語では、地名や人名の泉では、最初を高く発音するようだ。「泉ピン子」「仙台市泉(区を付けない場合)」など。しかし、秋田市泉は、湧き出る泉と同じく、平板に発音するのが、秋田の常識。
自動放送では、しっかり秋田式の平板アクセントで「いずみそとあさひかわ」と言ってくれていた。
秋田中央交通の路線バスでは、泉駅前広場はまだ乗っていないので分からないが、その他泉何丁目は、秋田式でないアクセントだったと思う【18日追記・バス停によって両アクセントが混在。コメント欄参照】。
【22日追記】ただ、JR東日本701系の自動放送でも、すべての駅名を正しいアクセントで言っているわけではない。羽越本線「下浜」なんかは、秋田ではまず聞かないアクセントにしてしまっている。

【31日追記】泉ハイタウン線の下りでは、駅開業後も、以前とまったく同一の放送だった。泉北三丁目で「泉外旭川駅へおいでのかたは、こちらです」ぐらい言ってもいいのに。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ポスター掲示板 若干変更 | トップ | 続・EV-E801ワンマン »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (カキフライ)
2021-03-18 11:23:42
泉のアクセント、バスに乗った当初驚いた記憶があります。
泉ピン子式強勢→ 泉南3丁目、泉ハイタウン団地前、泉南1丁目(かつての泉山王環状線新川向経由)
平板強勢→ 泉北2丁目、泉北3丁目、泉中央3丁目(だったかな、泉山王環状線)
返信する
不統一な泉 (taic02)
2021-03-18 17:35:08
県外で収録するでしょうから、指示や意思疎通が不充分だと、違和感が出ることがあるようです。市営バス時代も一時期の「寺内」など多少ありました。
それにしても、バスの「泉」はどちらかに統一されているわけでもないのですね。なんとも中央交通らしいです。
返信する
Unknown (Unknown)
2021-03-24 20:05:40
他地域の旅客鉄道線や路面電車の一部では、バス乗下車時の引き去り方式を採用しているところもあるので、運賃箱の機構を車両内に残した方がいいだろうとは思います。

簡易改札の方がいい場合もあるのでしょうけど。
返信する
秋田周辺の無人駅 (taic02)
2021-03-25 00:31:24
秋田近郊では、無人駅でも乗降客が多い駅が少なくなく、開くドア限定では滞ってしまうのも、全ドア開放の理由の1つなのだと考えます。
カードリーダーだけでも、車内全ドアに設置ということもできるかもしれません。
返信する
Unknown (Unknown)
2021-04-09 23:23:51
カードリーダーを3つくらい設置すればいいのではないかと思います。

上飯島駅の場合は、上下各2つはあっていいかもしれませんが。

基本は、自動改札が設置されるところには積極的に設置するのが本来の形ですが、それ以外どうなるかが、課題ですね。
返信する
カードリーダー (taic02)
2021-04-10 00:13:01
タッチする順番待ちの列ができてしまうのも、少々みっともない光景です。
JR東日本秋田支社が、どこまで設備投資するかですね。
返信する
Unknown (通りすがり)
2022-04-27 13:49:02
ワイパーカバーは、ベースとなったJR九州の車両にも付いています
ワイパーが幌に近いので、接触して壊れないようにするためだと思います
返信する
ありがとうございます (taic02)
2022-04-27 20:29:32
量産先行車を使ってみたの結果のフィードバックではなく、幌を追加設置したから、セットでワイパーカバーも設置したというわけですか。
多くの車両は、もっと外側寄りにワイパーの根本がありますが、これは幌のすぐ脇ですから、納得できます。
返信する

コメントを投稿