広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

701系運転席の日除け

2018-06-25 00:11:53 | 秋田のいろいろ
JR東日本の普通列車用701系電車が、他地域に先駆けて秋田地区(奥羽本線・羽越本線等)に投入されたのが1993年。今年でもう25年になる。
ここ数年は、運用離脱車や編成短縮の動きも出始めたものの、トータルでは大きな変化はない。

とはいえ、長く、そして細かい目で見ると、25年の間でいくつもの小さな変化があった。
25年のうち23年間、701系電車に乗ってきた者としては、それらを全部知っていると豪語したいところだけど、見落とし(特に運転室内の機器など)やいつ変わったのか把握していない点もある。でも、鉄道雑誌やWikipediaには載っていない(載せるほどではない?)変化をいくつも知っていると、自負している。

昨2017年にも小さな変化があった。小さいけれど、車両正面なので、気づく人は気づきそう。
おそらく春ごろから順次変化が始まり、2017年内に完了している。田沢湖線用の5000番台車でも実施済み。
(再掲)2017年8月、田沢湖線用5000番台
上の写真の状態では、気づきにくい。
今の時期の昼間は、分かりやすい状態になっていることが多い。
(再掲)ちょっと分かりやすいかも
では、これ↓では?
運転席の窓!

運転席の窓の車内側を、上から下に向かって白っぽいグレーの幕で覆えるようになった。

「日除け」であることは想像に難くない。構造としては、客席の側窓の日除けのロールスクリーン(ロールカーテン・遮光幕)と同じと考えられる。701系の客席にはないけど…


日除けスクリーンには、新旧2タイプある。
キハ40系気動車のような国鉄時代の車両や、場合によっては路線バスにも使われているのは、グレーなど単色のビニール状のスクリーン。
巻き尺のように、自分で元に戻ろうとするもので、それを窓枠の下向きの爪というかフックに引っ掛けて固定する。爪の位置でしか固定できないので、細かな調整はできない。
戻す時にバチンとすごい勢いで巻き上がってびっくりしたり、古くなると、重くなったり、引っかかって左右で違うずれた爪に固定されてしまうようなこともある。

一方、今の特急・新幹線の客席窓では、自由な位置で止められ、絵柄が織りこまれるなどした布っぽいスクリーンが主流。上に戻す時は自分で上げないとならないが、軽い力で済むし、左右が傾くこともなさそう。

701系では、運転席の背後と、左の窓、右の通路側の空間、それに後着けで右側の助士席背後に、旧式のスクリーンがある。
新スクリーン設置後の701系運転席
上の写真、左手前は既存の側窓のロールスクリーン。巻き取ったロールがむき出しで、2段階に留められる爪がある。
正面の新しいものは、巻き取ったロールは直接見えず、指を引っかける穴(写真中「ツマミ」と表記)があって、左右(写っているのは右だけ)にレールがあるが、爪はない。こうした形状からして、新しいほうのどこでも止められるタイプ。
レールはワイパーの上端付近までしかないので、前の窓を完全に覆うことはできない。上の八郎潟行きN4編成の写真の位置がいちばん下だと思われる。


じゃあ、これまでの日除けはどうだったか。
2006年7月

2010年2月。田沢湖線用車内から
板状の日除け板だった。上2枚は使っていない状態。
使わない時は上に跳ね上げておくもので、考え方としては普通乗用車の日除け(サンバイザー)と同じ。
ただ、701系の場合は、どうも左右の平行移動や回転もできるらしく、田沢湖の写真のように微妙に傾いた状態のことが多かった。
それに、普通乗用車のような完全に光を遮る板(にクッションやレザー風カバーを付けたようなの)ではなく、濃い青色を着けた透明な板だった。

701系以外でも鉄道車両やバスの日除けは、意図は知らないけれど、青とか茶色の透明板がよく使われる。昭和30年代製造の特急用151系電車や電気機関車の運転席にも、青い日除けがあった。
今は、普通乗用車用でも使える、偏光機能が付いた透明サンバイザー(板を通して外を見る)が通販で売られているが、鉄道のはそういうものではないと思う。

さらに、秋田地区では青い日除け板周辺で、さらに小さな変化があったことを、今回気づいた。
2006年の写真では、ガラス自体は素通し。ところが、2010年の田沢湖線では、日除けがある辺りのガラスが、黒っぽい。
おそらく2010年始め前後の時期に、運転席のガラス上部に黒いフィルムを貼って、その状態が昨年辺りまで続いていた。昨年のスクリーンへの交換時には、はがされたことになる。

ところで、
2010年撮影。盛岡の701系電車
盛岡の東北本線用701系でも、同様に黒フィルムを貼付。さらにさかのぼって、
2002年撮影。盛岡の「急行陸中(現・快速はまゆり)」用キハ110系気動車にも
盛岡ではかなり早い時期に、701系以外にも黒フィルムを貼っていたことになる。
盛岡の701系では、導入直後から車内の運転席背後のガラス全面に黒フィルムを貼っているので、そういう発想があって、同じものを前にも貼ったのかもしれない。それが秋田支社にも波及したのかも。

なお、盛岡支社の花輪線用キハ110系では2016年早春時点で、秋田の701系のような新しいロール式になっていたが、701系は2017年夏時点で黒フィルムのまま。
仙台地区では、東北本線などの701系は2016年では黒フィルムを貼っていて、山形新幹線区間(通称山形線)の701系5500番台は、昨年夏の時点で黒フィルムがなく、グレーの不透明の日除け板。
山形線用
701系やキハ110系では、支社ごとの判断で、ロール式に更新されているようだ。

近年のJR東日本の新製普通列車形式である、E721系とE129系は、どちらも新しいロール式。
リゾートしらかみのHB-E300系気動車は、レールの構造はやや違う(細い針金のように見える)ようだが、雰囲気としては同様のロール式。
ロールカーテンのほうが、従来の板よりは確実かつ的確に遮光できるだろうから、これからは主流になっていくのかもしれない。

ただし、例えばキハ40系は青い板のまま。窓の大きさや、運転席からガラスまでの距離(手が届かなそう)の問題があって、ロールカーテンに換えられないのかもしれない。
男鹿線の新車EV-E801系蓄電池式電車では、大きめの黒い不透明な跳ね上げ板だった。この形式もガラスが遠そうだから。【7月1日追記】EV-E801系の運転席左窓・右貫通路との仕切りは、従来通りの爪固定式の幕で、701系左右のよりもツルツルしてビニール感が強い素材。【2021年3月19日追記】2021年春に増備された量産車では701系同様のロール式に変更。【2021年7月5日追記】EV-E801系の第1編成も、ロール式に交換された。

これからの時期は特に、ロールカーテンを下ろした701系を見かけることになる。今までなかった白っぽい色が正面にできて、ウインクしているように見えないこともない。
鉄道写真を撮る人は、こういう微妙な差を気にする(嫌がる)ことがあるけれど、どうとらえるだろうか。個人的には、変化が生じるのはその車両が現役であることの現れ、その日の日差しの強いことの証であり、それらを素直に記録することこそ「写真」だと思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1本だけ道標設置 | トップ | 弘前2018.6 その2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿